【最長片道切符の旅#28】那智勝浦を観光し、和歌山・奈良を巡る

最長片道切符の旅28日目。本日は2023年4月27日(木)。和歌山県の紀伊勝浦駅からスタートしていきます。
(最長片道切符の旅の概要はこちらからご覧ください)

【旅程: 最長片道切符の旅28日目】
■ 那智勝浦観光
 ● 紀伊勝浦駅 (8:25発)
 ↓ 熊野御坊南海バス 那智山線
 ● 熊野古道 (8:46着)
  ・ 大門坂 (熊野古道)
  ・ 熊野那智大社
  ・ 青岸渡寺
  ・ 那智の滝 (飛瀧神社)
 ● 那智の滝前 (10:24発)
 ↓ 熊野御坊南海バス 那智山線
 ● 紀伊勝浦駅 (10:48着)
  ・ 昼食
■ 紀伊勝浦駅 (11:48発)
↓ 紀勢本線(きのくに線) 特急くろしお22号
■ 和歌山駅 (14:48着/14:55発)
↓ 和歌山線 普通
■ 五条駅 (16:30着/16:31発)
↓ 和歌山線 普通
■ 高田駅 (17:04着/17:23発)
↓ 桜井線(万葉まほろば線) 普通
■ 奈良駅 (18:04着)

午前中は滞在中の那智勝浦町で和歌山県の観光を行い、その後は紀伊半島の西半分を回り、奈良県方面へと入っていきます。

【プロローグ】回ってきたツケ

昨夜、駅近くの居酒屋さんで地元の交流を楽しみながら、その場で教えてもらった地酒を4-5合開けた後、ホテルまでの途上であったファミマでおにぎりを買ってホテルに戻った…。

ここまで記憶はあるのですが、その後の記憶は断絶があり、気づいたときには朝5時、布団の上。テーブルの上にはまだ食べていないおにぎり。そして、昨日と全く同じ服。平たくいうと、昨夜帰ってそのまま寝てしまったということですね。

昨夜からはまぐれでかなり当たりのホテルに泊まっており、ホテルが売りとしている大浴場で入浴。極楽も、頭痛い。すっかり二日酔いの様子。残った時間でほんの数日後の旅程を追われるように練り出発。最繁忙期のGW中の旅程の目途が立たぬまま出発(ホテルや列車の予約が埋まってしまう…)。

【8:17-11:48】 那智勝浦町の世界遺産物件を巡る

そんなこんなで先のことを思うと、少しメランコリー(憂鬱)モードが出ているも、一旦忘れてホテルを出発し、紀伊勝浦駅から旅をスタートしていきます。にしても、頭痛い。

紀伊勝浦駅
紀伊勝浦駅

先述の通り、まずは那智勝浦町の観光をすべく、紀伊勝浦駅からはバスを使っていきます。今回の旅のテーマは「世界遺産めぐり」。そのスポットまで20分程度バスに乗車し、熊野古道バス停で下車します。やってきたのは那智山那智山には数々の世界遺産の登録物件があり、これらを2時間程度でササっと巡ります。

紀伊勝浦駅前のロータリー
紀伊勝浦駅前のロータリー
熊野御坊南海バス
熊野御坊南海バス

熊野古道バス停付近には車道から分岐する脇道があり、その先には石段があります。これが熊野古道の一部である「大門坂」です。熊野古道バス停からは大門坂の中間地点付近にアクセスができ、まずは熊野古道の大門坂の後半部分を歩いていきます(大門坂バス停で降りると、下から登れる)。熊野古道の大門坂は林に囲まれており、でこぼことした石段は往年の雰囲気を感じさせます。平日ということもあり、誰もおらず静か。時折風が通り抜け、周囲の木の葉が揺れる音だけです。にしても、頭痛い。

熊野古道大門坂
熊野古道大門坂

ところで、大門坂は熊野那智大社へ繋がる熊野古道の一部で、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」(熊野のほか、高野山・吉野・大峰も含まれる)の構成資産のうちの一物件となっています。熊野古道は熊野三山(熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社)へ至る参詣道のことで、あらゆるルートから成っています。大門坂はそのうちの中辺路(なかへち)という、新宮市にある熊野速玉大社から熊野那智大社・熊野本宮大社を経由し、田辺市街へ向かうルートの途上にあります。この大門坂は熊野古道のかつての面影でもっとも色濃く残しているといわれ、すべてを歩いても約1kmのため、その手軽さもあり、観光客にも人気なスポットのようです。

熊野古道大門坂②
熊野古道大門坂②

歩くこと約10分、坂の頂上へ到着です。そういえば無心で歩いているうちに頭痛が和らいできたような。ここからは那智山表参道を経由。すると、熊野三山のひとつ、「熊野那智大社」へたどり着きます。ここも、世界遺産の登録物件の一つです。創建は西暦317年と言われており、これでも相当歴史がありそうですが、熊野三山の中では一番新しい神社のようです。熊野那智大社には熊野本宮大社や熊野速玉大社と共通の熊野権現が祀られています。また、近くには日本三名瀑である那智の滝があることに因み、滝の神様もここに祀られています。

那智山表参道
那智山表参道
熊野那智大社の大鳥居
熊野那智大社の大鳥居
熊野那智大社
熊野那智大社

朱塗りの礼殿でお参りをし、先に進むと、今度は「厳か」という言葉を具現化したような古い寺院にたどり着きます。これは「青岸渡寺」という仏教の天台宗の寺院。熊野那智大社のすぐ隣に位置し、かつては那智の滝を中心として、神仏習合の道場となっていましたが、明治初期の神仏分離によって、一旦寺の役目を終えてしまった過去があります。神仏分離の動きにより、全国各地で寺院が取り壊される事態が発生した中、本堂は壊されずに残り、1874年に新しい寺院として、再び新しい寺院として歴史を刻み始めたのです。本堂は1590年築の材木をそのまま活かした建築が特徴です。

青岸渡寺の本堂
青岸渡寺の本堂
青岸渡寺の本堂のある山から見た景色
青岸渡寺の本堂のある山から見た景色。右側の水流は那智の滝

山を少し下りたところには朱塗りの三重塔も。三重塔は那智が霊場としての全盛期にあたる平安末期に建てられ、現在の建物は1972年に再建されたものです。各階には異なる仏の像が安置されており、2階・3階のデッキ部分からは那智の滝が見渡すことができます。

青岸渡寺三重塔
青岸渡寺三重塔
三重塔から見た那智の滝
三重塔から見た那智の滝

それでは那智の滝へアプローチすべく、山を下りていきます。すると、また別の神社の入口にたどり着きます。この神社の名は「飛瀧(ひろう)神社」。名の通り、時期は不明ではあるものの、那智の滝の神様を祀るために創建された神社です。現在は滝の神様は先述の熊野那智大社に移され、現在はご神体である那智の滝そのものを拝むスポットとなっています。神社の入口から石段を数分下りていくと、那智の滝にたどり着きます。もちろん、こちらも世界遺産登録物件の一つです。神社ということもあり、滝の手前には鳥居があり、文字通り、滝を拝む格好となっています。水が滝壺に落ちる轟音が響き、程よく飛沫もかかるほどの迫力。辺りは森林になっており、イメージするところの典型的なマイナスイオンを浴びている感覚になります。落ち口の幅は13m、滝壺の深さが10m、落下する水量は毎秒1t。落差は国内最大級の133mを誇るようです。その姿は圧巻そのもの。こういった自然に畏敬の念を抱き、神化したくなる気持ちがわかる気がしました。そういえば、朝の頭痛がほぼなくなっているような。

飛瀧神社
飛瀧神社
那智の滝
那智の滝

これにて那智山の世界遺産巡りは終了。那智の滝から徒歩5分のところにある「那智の滝前」からバスで再び紀伊勝浦駅へと戻りました。

紀伊勝浦の街並み
紀伊勝浦の街並み
「竹原」外観
「竹原」外観

注文したのはお店の看板メニューである「名物マグロ定食」。注文するやいなや、盛りのよいご飯、あさりの味噌汁、マグロの刺身(赤みとトロ)、軽く炙ったマグロ・玉ねぎスライスにポン酢を加えた和え物が出てきました。まさにマグロづくし。あまりマグロを食べない身としても、これは良いマグロだと素人目にもわかる品質でした。ただ、二日酔いとあまりマグロを食べ慣れていなかったのか、最初はおいしかった一方、後半は少しぐっつりときました(それでも完食しましたが)。

炙ったマグロ・スライスオニオン・ポン酢を和えた料理
炙ったマグロ・スライスオニオン・ポン酢を和えた料理
名物マグロ定食
名物マグロ定食

この時、時刻は10:50頃。昼食にするのも少し早い気もしましたが、列車まで約1時間弱あったので、駅近のお店で昼食を済ませることに。立ち寄ったのは駅から徒歩3分のところにある「竹原」さん。勝浦名物のマグロが食べられるらしく、立ち寄ることとしました。

【11:48発/14:48着】 特急くろしお号で穏やかな海を眺めながら和歌山駅へ

それではいよいよ、紀伊勝浦駅から移動開始です。

紀伊勝浦駅
紀伊勝浦駅

乗車するのは新宮駅を始発とする特急くろしお22号の新大阪行き。この列車で和歌山駅まで行きます。同じ和歌山県ながら、所要時間は3時間。それなりの移動距離になりそうです。車両は289系電車。車両前面にパンダの顔。側面にはパンダをはじめ、様々な動物のラッピングがされています。

パンダラッピングの289系電車
パンダラッピングの289系電車

くろしお号は全車指定席となっているため、今回は指定席に乗車。紀伊勝浦駅出発時点では車内はガラガラ。道のりも長いので、そのうち乗ってくるのでしょう。それにしても、車内のあちこちにもパンダと愉快の仲間たちの姿が。

枕シートにもパンダがいる
枕シートにもパンダがいる

列車は穏やかな海を見ながら海岸線を進み、次の停車駅、太地駅へ到着。ここは有名な捕鯨の街。約400年に渡り、伝統的な漁法を行ってきた地ですが、特に、その一環で行われているイルカ漁については、とある映画の影響で国際的に理不尽な非難や妨害活動が行われりと、大変な時期があった街でもあります。計画時点では太地駅で途中下車することも考えましたが、時間の都合上、適いませんでした。

太地駅を過ぎると玉ノ浦に沿って走行し、進行方向左手には海の様子がよく見えます。この日は良く晴れており、太陽の光が海に反射して光輝く様子がきれいです。古座駅到着直前には渡る古座川の景色も同じくきれいで、河口越しに眺める海もまたよいものです。

玉ノ浦(下里・紀伊浦神駅間)
古座川(紀伊田原・古座駅間)
古座川(紀伊田原・古座駅間)

列車は串本駅へ到着。ここは本州最南端の駅です。ちなみに、本州最南端の地は潮岬であり、串本駅はその玄関口にあたります。串本駅を出発すると、紀伊山地の南端をトンネルで縫うようにして進み、海と山の景色が交互に出てくるようになります。

串本駅
串本駅

やがて、景色に映る台地の上に観覧車が見えてくると、まもなく白浜駅へ到着します。先ほど見えた観覧車はアドベンチャーワールドの施設の一部で、遊園地・動物園・水族館が融合した関西の一大テーマパークです。白浜駅はアドベンチャーワールドの最寄駅であり、アドベンチャーワールドの看板動物であるパンダをはじめ、あらゆる動物のラッピングが設けられており、愉快な感じになっています。現在乗車中の列車のラッピングも、アドベンチャーワールドとコラボしたものであり、JR西日本としても、アドベンチャーワールドの利用者をくろしお号に誘導しようとする意図が見て取れます。

白浜駅
白浜駅
白浜駅にあるパンダの装飾
白浜駅にあるパンダの装飾

白浜駅から先は田園風景が中心となり、次の市街地へ入ると、和歌山県2番目の都市にある紀伊田辺駅へ到着します。田辺市の市街地で熊野古道のルートのうち、大辺路(おおへち)・中辺路・紀伊路の3つのルートが合流する場所であり、かつてから交通の要衝であったことが窺えます。ちなみに、大辺路は那智駅付近から紀勢本線に並行しており、ここから先は紀伊路(大阪中心部までを結ぶ)に並行していきます。

紀伊田辺駅を出発すると、南部(みなべ)・切目駅の間でも再度太平洋を眺めることができます。地平線まで遮るものがないため、視界がクリアであれば遠くまで見通せる絶景スポットのうちのひとつです。

南部・切目駅間で見える太平洋
南部・切目駅間で見える太平洋

紀州鉄道線との乗換駅である御坊駅を通り、再び、冷水浦駅付近では和歌浦湾の景色が広がり、まもなく到達する海南市街の様子を見ることができます。海南駅を出発し、トンネルを抜けると徐々に市街地の様相となり、まもなく和歌山駅へ到着となります。

冷水浦・海南駅間で見える和歌浦湾
海南駅手前にある石油精製所
海南駅手前にある石油精製所

それでは3時間に渡る快適な旅は一旦ここで終わり、くろしお号を下車します。

和歌山駅
和歌山駅
和歌山駅を出発する特急くろしお号
和歌山駅を出発する特急くろしお号

【14:55発-17:04着】 紀の川ののどかな景色を見ながら和歌山線で高田駅へ

和歌山駅からは、旅人にとっては修行となるロングシートの旅がずっと続きます。

和歌山駅から乗車するのは和歌山線。途中の高田駅まで行きます。接続時間が7分と短めな中、撮影・トイレをこなし、ギリギリの状態で和歌山線のホーム手前に立ちはだかるのはまさかの中間改札。和歌山線や紀勢本線の和歌山市方面の列車に乗車する際は中間改札を通過する必要があることを知らなかったのです。最長片道切符は当然、自動改札に通せず、駅員さんに直接対応頂くことになるのですが、この中間改札には駅員の方の姿がなく、インターホンで対応してもらうことになります。インターホンには切符を写し出すカメラと切符を置くための台が設置されているのですが、いつも改札で提示する経路が書かれた紙はA4サイズ。切符を置く台は小さく、経路が書かれた紙のちょうど真ん中あたりにある和歌山周辺の経路をカメラで写すのに苦労し、かなり手こずり、危うく乗り遅れそうに。

出発時刻ギリギリのところで、何とか中間改札をクリアし、和歌山線の五条行きに乗車。案の定、車内はロングシートでおよそ8割-9割がうまっている状態で和歌山駅を出発していきます。ところで、関西の鉄道ファンの界隈では関西最長大回りの旅というものが有名で、そのルートに和歌山線が出てくるのですが、路線距離の長さとロングシートである点から、難所とされている路線の一つです。これは長い旅になりそうです。

一方で、車窓は決してつまらないものではなく、特に和歌山県の区間では並走する紀ノ川を中心に見応えのある景色が見られます。船戸・岩出駅間で紀ノ川を渡り、西笠田駅付近でも紀ノ川を目の前に見ることができます。また、進行方向右手には紀伊山地の山々を見ることができます。

紀ノ川(船戸・岩出駅間)
紀ノ川(船戸・岩出駅間)
紀ノ川(名手・西笠田駅間)
紀ノ川(名手・西笠田駅間)

車内は帰宅中の学生さんがある程度の割合を占め、少しずつ減りながらも、主要駅で乗客の流動が見られたように記憶しています。また、小学生の団体さんと思われる姿もあり、全員同じ駅で乗車・下車されたので、遠足利用だったのかと思われます。

列車は和歌山県の内陸を東に進み、高野口駅へ到着。駅名の通り、目の前には高野山が聳え、実際に高野山への参詣道が周辺を通るものの、現在のところは高野山へのアクセスの役割はない引っ掛けな駅となっています。しかし、かつてはアクセス駅としての役割があり、その頃の面影を残す木造の古い駅舎がいまでも残っています。

紀ノ川越しに見る紀伊山地の山々(西笠田・笠田駅間)
紀ノ川越しに見る紀伊山地の山々(西笠田・笠田駅間)

高野口駅からしばらく進むと、橋本駅へ到着。ここは南海高野線の乗換駅となっており、現在は橋本駅で南海高野線に乗り換えると、高野山まで便利にアクセスができます。

隅田駅を出発するとまもなく、県境を越え、奈良県へ。大和二見駅を通り、市街地へたどり着くと終点の五条駅へ到着となります。ここまで、ずっと立ちっぱなしで車窓を見ていましたが、思った以上に見応えのある車窓でした。

五条駅では息つく暇もなく、1分接続で向かい側の王寺行きの列車に乗車し、続きの区間を進みます。学生さんを中心にそれなりの乗車があり、引き続き、立ちでの乗車となりました。

五条駅
五条駅

この辺りからは近鉄線の接点が増え、近鉄吉野線の線路と合流すると吉野口駅へ到着。桜で有名な吉野へはここで乗り換えとなります。吉野までは吉野口駅から近鉄吉野線で約30分と駅名の割には吉野から遠い場所にあります。歴史的にみても、ここが吉野への玄関口になった記述は見られず、その名前の由来が謎です。そして、しばらく進むと、御所駅へ到着。こちらは近鉄御所駅が近くにあり、ここからは近鉄御所線と並行しながら高田駅へ向かいます。

五条駅から乗車すること約35分で高田駅へ到着。ここで和歌山線の旅は終了となります。

高田駅
高田駅

【17:23発-18:04着】 雅な雰囲気のある桜井線で奈良へ

高田駅からは桜井線(万葉まほろば線)へ乗車して、本日の最終目的地、奈良駅へ至ります。あともう少しです。

桜井線を走る227系電車
桜井線を走る227系電車

平日のラッシュ時間帯の割にはロングシートが埋まるか埋まらないか程度のところで、意外と混まずに高田駅を出発します。

高田駅付近も近鉄王国な雰囲気があり、ここからは近鉄大阪線に並行していきます。しばらくして列車は畝傍駅へ到着。これで「うねび」と読む難読駅名の一つです。比較的近くに橿原神宮があり、昭和天皇の行幸に際して建設された貴賓室があります。駅舎自体も、重厚な古い駅舎が使われているようですが、改築の話が持ち上がっているようで、今後どうなるか注目される駅でもあります。

近鉄大阪線の線路が間近に見えてくると、列車は桜井駅へ到着。桜井駅を出発するとほぼ直角に向きを変え、近鉄大阪線とは別方向に進んでいきます。次の駅、三輪駅を出発すると進行方向左手に非常に大きな鳥居が見えてきます。これは付近にある大神(おおみわ)神社の大鳥居。その高さは32.2mで熊野本宮大社に次いで国内2番目の高さのようです。大神神社は日本最古の神社の一つといわれており、創建されたのは有史以前のようです。

大神神社の大鳥居(三輪・巻向駅間)
大神神社の大鳥居(三輪・巻向駅間)

そして、次の駅、巻向駅手前には箸墓古墳が見えてきます。前方後円墳の形をしており、住宅が点在する中に、山のような丸い形をした森が突如出現します。

箸墓古墳(三輪・巻向駅間)

また、桜井線の途中駅は難読地名が多く、先ほどの畝傍駅のほか、「巻向」「櫟本」「京終」など、初見では一発で読み方を当てられない駅が多くあります。ちなみに、正解はそれぞれ「まきむく」「いちのもと」「きょうばて」です。一方で、かつて平城京が設けられた過去からもそれぞれの駅名にどこか「雅」な要素を感じられる気がします。

奈良駅手前
奈良駅手前。なんか夕日がきれい

奈良駅に近づくにあたり、少しずつ乗客が増え、立ち客が十数人程度まで増えていきます。最後の途中駅、京終駅を出発すると、高架へ上がり、関西本線(大和路線)の線路に合流するとまもなく、終点の奈良駅に到着します。結局、和歌山駅からずっと立ちっぱなしの乗車となりました。

奈良駅
奈良駅旧(2代目)駅舎
奈良駅旧(2代目)駅舎

【19:45-20:15】 天理名物、天理スタミナラーメンを食する

奈良駅に到着し、ホテルで少し休憩した後、夕食に出かけます。奈良に来ると、やはりアレの存在を思い出します。そう、「天理スタミナラーメン」です。実際のところ、店舗が県外にあったり、カップラーメンもあったりで、どこでも楽しめるのですが、やはり本場(本当は奈良市でなく天理市だが)で味わうことに意義があるのです。JR奈良駅から徒歩15分、近鉄奈良駅近くにある「天理スタミナラーメン」さんに訪問。

天理スタミナラーメン 外観
天理スタミナラーメン 外観

今回は特別にトッピングなしのスタンダードな天理スタミナラーメンを注文。かつて天理スタミナラーメンはカップラーメンで食べたことがあり、この醤(じゃん)とニンニクの香りから、「うん、この匂いだ」と思い出させてくれ、食欲をそそります。豆板醤・ニンニクと一緒に炒めた豚肉・白菜・ニラが入った豚骨ベースのスープは割と大味。しかし、この大味具合が天理スタミナラーメンの良さです。とはいえ、適当ではなく、恐らく計算された人間の本能に訴えるものがそこにあるのでしょう。

天理スタミナラーメン
天理スタミナラーメン

気づけば完食しており、スープも飲み干していた自分がいました。もう一杯食べたくなるところですが、さすがに健康的ではないので、退店して本日の旅程を終了としました。

それでは1日、お疲れ様でした。

【YouTube】