【最長片道切符の旅#18】栃木・宇都宮で観光も再び東北へ連れ戻される
最長片道切符18日目。本日は2023年4月16日(日)。栃木県の栃木駅から旅をスタートします。
(最長片道切符の旅の概要はこちらからご覧ください)
この日の旅程は下記の通りです。
【旅程: 最長片道切符の旅18日目】
■ 栃木観光 (栃木駅8:40発)
・日光例幣使街道(嘉右衛門町)
・巴波川綱手道
■ 栃木駅 (10:15発)
↓ 両毛線 普通
■ 小山駅 (10:26着/10:40発)
↓ 東北本線(宇都宮線) 普通
■ 宇都宮駅 (11:08着)
■ 宇都宮観光
・来らっせ
・宇都宮二荒山神社
● 馬場町 (12:48発)
↓ 関東自動車(バス) 45大谷・立岩線
● 資料館入口 (13:12着)
・大谷資料館
・大谷寺(大谷観音)
● 大谷観音前 (14:33発)
↓ 関東自動車(バス) 45大谷・立岩線
● 宇都宮駅西口 (15:03着)
■ 宇都宮駅 (15:19発)
↓ 東北本線(宇都宮線) 普通
■ 黒磯 (16:11着/16:17発)
↓ 東北本線 普通
■ 新白河駅 (16:41着/16:44発)
↓ 東北本線 普通 (安積永盛駅経由)
■ 郡山駅 (17:23着)
最長片道切符の旅は北海道から長崎県へかけて、南下をしていく旅にもかかわらず、本日に関しては一旦、小山まで出た後は絶えず北上をしていくというゴールへ近づく達成感を覚えにくい旅程となります。また、実際の最長片道切符のルートは郡山の一駅手前である安積永盛(あさかながもり)駅までのため、安積永盛・郡山駅間は最長片道切符のルート外となります。
【8:40-9:45】 蔵の街、栃木を散策
それでは移動を開始する前に栃木駅周辺に広がる栃木市内を散策していきます。昨日は両毛線の新前橋方面から来ていましたが、両毛線を小山まで乗り通さず、あえて栃木で移動をストップしたのは栃木の街を見てみたかったから。
栃木は「蔵の街」として有名であり、江戸時代に日光東照宮への捧げ物を運ぶ使者が通る「日光例幣使街道」が通る場所でその途上にある宿場町として栄えた街です。また、栃木市内を流れる巴波川を経由する舟運によって物資が集積した街でもあります。その過程で豪商が目立つようにもなってきました。また、建物が蔵造りになったのは幕末の大火の経験からといわれています。栃木では幕末に4回の大火を経験しており、豪商たちが財産を守るために蔵を建てたのがきっかけとのことです。そのため、現在においても、栃木の街には江戸時代から育まれた街並みが至る所に残っています。
栃木駅北口からは栃木県道11号を栃木市役所方面へ歩いていると、そのうち立派な古い建物がちらほら見られます。これらのほとんどは現在も商店として有効に活用されているようです。また、GWの近づいている時期ということもあり、鯉のぼりが街の至る所に飾られていました。まったく関係ないのですが、駅前の通りを歩いているときに福岡ソフトバンクホークスの方たちがホテルから出てくる光景を見ました。調べている感じだと3軍の選手が栃木で試合をされていたようです。野球に関してはまったくの門外漢ですが、好きな方からすれば、もしかしたら感動ものだったのかもしれません。
そして、県道を万町交番前交差点で外れると、まもなく日光例幣使街道への入口に差し掛かります。この付近は「嘉右衛門町(かうえもんちょう)」という伝統的建造物群保存地区で、宿場町だった時代に作られた風景が色濃く残されています。土蔵や石蔵などをはじめ、様々なバリエーションの建造物が見られ、興味深いです。ただし、普通の住宅も混じっているので、街全体というよりかは個々の家屋を見るつもりで訪れる方がより楽しめる気がします。
そして、駅方向へ戻るようにして巴波川綱手道(うずまがわつなてみち)を歩きます。沿道には舟積問屋や豪商の倉庫などの歴史的建造物が連なっています。もともとの雰囲気はもちろんですが、巴波川の上には多くの鯉のぼりも飾られており、新緑の時期の訪れ(?)的な雰囲気も一緒に感じられます。
事前の計画が甘く、30分近く時間を余らせて栃木駅へ戻ってしまいました。実際は資料館など立ち寄るつもりでしたが、計画よりも遅れて駅を出発し、途中で寄る時間がないかもと思い、散歩だけ駅へ戻ってしまったからです。めっぽう朝に弱く、列車に乗るなど、やむを得ない理由がないとなかなか起きられない性格、何とかできないものか。
今回は結果的に朝の散歩をするような形で散策を終えましたが、豪商の家の内部を見られる「栃木市郷土参考館」や「塚田歴史伝説館」、「横山郷土館」など、観光施設も多くあるので、機会があれば寄ってみてもよいかと思います。それでも、栃木市街は歩くだけでも楽しく、このように最短1時間程度で手軽に観光ができるので、立ち寄りをお勧めしたい街です。
【10:15発/11:08着】 両毛線・宇都宮線で宇都宮へ
それでは栃木観光を終え、移動を始めていきます。栃木駅から乗車するのは小山行きの普通列車です。
本日は日曜ですが、栃木駅から小山方面へ向かう人は多く、211系の4両編成の車内は立ち客も散見されるほどの利用が見られました。
栃木市街から田園風景を見たかと思うと、まもなく小山市街へ入り、終点の小山へ到着します。2駅11分とあっという間の乗車となりました。
小山で列車を乗り換え、今度は宇都宮線の宇都宮行きに乗り換えます。首都圏方面から走ってきた15両編成の列車がやってきます。この光景を見るとようやく首都圏まで来たかと思いますが、向かうのはいるのは北の方で、また今日中には関東地方を外れないといけないという現実があります。これが最長片道切符の旅の試練です。
15両編成とはいえど、次の小金井駅で列車は10両編成へカットされ、宇都宮近郊の街を走ると、終点の宇都宮駅へ到着します。約30分の乗車でした。
【11:08-15:19】 餃子だけじゃない! 宇都宮を旅する
宇都宮へ到着。約4時間弱、観光の時間を設けていきます。時刻はまだ昼前ですが、ここで昼食に。ベタですが、ここはやっぱり餃子が食べたい(むしろ、餃子が食べたくて宇都宮に立ち寄った)。ということで、「来らっせ(きらっせ)本店」へ行きます。来らっせは宇都宮で初めて餃子を食べるには特におすすめで、宇都宮にある名店の餃子を一度に楽しめるお店です。二荒山神社の近くにあるドンキホーテのB1Fにあります。駅からは徒歩15分です。
来らっせではLINEを使った入店管理が行われており、LINEで友だちになったうえで、入店のための整理券を発行して、順番待ちをするという仕組みがとられています。また、店舗は常設店舗と日替店舗の2種類のうち、どちらかを選ぶことになります。順番が近づいたらLINEで呼び出してくれます(LINEがなくとも、利用は可能のようでした)。
ちょうどこのときは日曜の休日の昼時ということもあって、多くの人で混雑をしていました。常設店舗と日替わり店舗のそれぞれで整理券を発行しており、11:40時点で常設店舗は約40組、日替店舗は約10組の順番待ちでした。ここまで混んでいるとはちょっと予想外でした。この後も予定があるので、今回は比較的空いている日替店舗の方で順番待ちをすることにしました。LINEで整理券を発券したところ、順番待ち中は自由に過ごしてもよいとのことと、待ち時間は約30分と表示があったので、隙間時間を有効に過ごすことに。
隙間時間の使い方は近頃、話題になっていますが、もちろん、私は観光をして時間を過ごします。今回は来らっせからほど近い、二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ)へ。日光にも二荒山神社がありますが、こちらは「ふたらさんじんじゃ」と読み、祭神も異なりますが、それぞれのルーツに関しては謎で、現在も議論されているようです。
喧騒とした宇都宮市街地を通る大通り沿いに神社の入口があり、そこには大きな鳥居(大鳥居)があります。本殿自体は背後の臼ヶ峰という山の上にあり、そこへ向かう95段の石段があります。人通りの多い宇都宮の中心とは物理的に接していながらも、どこかそことは隔絶されたオーラを感じます。石段を登り切ったところに本殿があり、ここでお参りして行きます。現在の社殿は1877年に建てられたとのことです。
この二荒山神社は宇都宮の地名の由来となった説があります。平安時代から鎌倉時代にかけて各国で最も格式が高い神社を一之宮と呼んでおり、この二荒山神社は「下野国一之宮」とされていました。この「一之宮」が「宇都宮」に転訛することで、宇都宮の地名となったというものです。ほかにも説はあるようですが、宇都宮の中心に鎮座する神社ということもあり、この説が採用されても全く疑いの余地を持たせない荘厳さを放っていました。
ちょうどお参りが終わったタイミングで来らっせよりLINE通知があり、来らっせへ戻ります。着く頃には自分の番号が呼ばれて保留状態になっていたようで(待たせてしまいすみません)。無事に入店し、通常の食堂と同様に、メニューを見て店員さんにオーダーをとってもらいます。
ラインナップとしては各店舗の餃子があるのはもちろん、各店を代表する餃子を一つずつ盛り合わせにしたものが何通りか用意されており、まさに餃子店が寄せ集められて作られた来らっせならではの強みを感じさせます。今回はその「寄せ集め」2種類を注文。そして、餃子といえば生ビール。飲みたいときに飲めるのが鉄道旅ならではの強みです。
どのお店がどんな味だったかまでは覚えていませんが、餃子の奥深さを実感。皮の厚さ・具のつまり具合・具の種類・肉汁の程度・食感など、一つ一つが異なり、餃子を餃子たらしめる要素が多いことに気づかされました。ただし、来らっせのデメリットも一点。それは餃子のタレが同じものであるということ。餃子のタレもお店ごとに個性が出るはずなので、初めて来たときにここで、お気に入りの餃子やお店を探し、次回訪問時に直接そのお店を訪ね、タレを含めてどっぷり浸かりきるのが良いのかなと思います。ちなみに、サイドメニューでルーロー飯などもあるので、「餃子だけだとちょっと…」という方は餃子と一緒に頼んでみてもよいかと思います。
来らっせを後にし、最寄りの馬場町バス停からバスで別の場所へ。駅からは約30分乗車した先にある資料館入口バス停で下車し、「大谷資料館」という施設へ。大谷資料館は宇都宮市大谷地区にある資料館です。大谷地区では「大谷石」という石の産地であり、大谷資料館はかつての地下採石場が見られるスポットです。
地下採石場へ入るとまるでそこは地下神殿のような世界。幻想的で広大な空間が眼前に広がります。その広さを活かして戦時中は陸軍の地下倉庫や中島飛行機(現在のスバル)の戦闘機の機体工場としても使われていました。壁には採掘をした痕跡がわかりやすく残っています。昔はつるはしを使った手掘りで横線が壁に刻まれているのに対し、1960年代以降、採掘が機械化された箇所は壁に縦線が刻まれているのが特徴です。場内はひんやりとしており、ワインなど、食品の貯蔵にも使われているようです。また、この独特な空間はCMや有名ミュージシャンのMVなど、様々な撮影にも利用されています。
続いて、大谷資料館から徒歩6分のところにある大谷寺(大谷観音)へも訪問。こちらには大谷石を彫刻してできた千手観音像があります。この観音堂は大谷石の洞窟にすっぽりと収まっているような造りになっています。この千手観音像は810年に弘法大師が作ったものといわれ、古い歴史があるといわれています。この千手観音像にせよ、観音堂にせよ、自然と人間が織り成した芸当のマリアージュを感じることができます。そして、観音堂から徒歩1分のところには平和観音像があります。これは大谷石を彫って作られた高さ27mの像。太平洋戦争の戦死戦没者の供養と世界平和を目的に1954年に作られました。高いところからこれからも見守っていただきたいものです。
大谷地区ではこのような大谷石の自然とともに、人間がそれを加工してできる採石場や石仏など、文化的な営みが感じられ、素敵な場所だと思いました。
【15:19発/17:23着】 再度の東北入り、東北本線で郡山へ
大谷地区からバスで宇都宮駅へ戻り、移動を再開します。これから東北本線を2回乗り継ぎ、本日の最終目的地、郡山まで向かいます。
まず乗車するのは黒磯行きの普通列車。車両は近年導入されたE131系600番台の3両編成です。この区間に3両編成の列車が走っていたことを知らず、少し驚きました。つい最近まで、E231系が10両編成で乗り入れていたことを思うと、時代の変化を感じさせます。この車両はオールロングシートですが、宇都宮出発時点ではやはり、立ち客がちらほら出る利用状況でした。
宇都宮を出発すると、岡本駅まで宇都宮の市街地が続き、あとは駅周辺に街が見える程度で基本は田園風景が中心の車窓が続きます。
約50分で終点の黒磯へ到着。ここで乗換えをして、新白河行きの普通列車へ乗り換えます。黒磯・新白河駅間では常磐線でおなじみのE531系が走ります。この列車は交直両用ですが、黒磯を境に電化方式が直流から交流に変わるため、どちらにも対応できる車両があてがわれています。また、一部車両にクロスシートがあるのが旅行者としては助かります。
この辺りで関東平野が終わり、少しずつ山が近づいてきます。栃木県最後の駅、豊原を過ぎ、黒川を渡ると福島県へ入り、再度の東北入りを果たします。なんか進んでいるつもりなのに戻っている気分。まるでムーンウォークように。山を下りると終点の新白河駅へ到着します。ここまで約25分の乗車です。ご存知の通り、東北新幹線の駅でもありますが、新幹線の駅で唯一、西郷村という「村」にある駅です。
新白河駅にて再度乗り換え。乗車したのは郡山行きの普通列車です。車両は701系。オールロングシートです。先ほどのE131系といい、旅行者にはちょっときついです。
新白河を出ると次は白河駅。白河市の中心駅です。駅停車時、進行方向左側に白河城を見ることができます。白河を過ぎると基本、田園風景になります。田園風景を見ていると、至る所で田植えが始まっており、この前までは中身が空っぽだった田んぼが多かったと思うと、この旅をはじめてから日数がたったことを実感します(日数に対して、距離が伴っていないので焦りも半分)。しばらく走ると市街地に入り、須賀川に到着します。須賀川はウルトラマンを生み出した円谷英二氏の生誕地。その縁からも「円谷英二ミュージアム」が須賀川市内にあります。
そして、その次が安積永盛駅。水郡線との分岐駅で、先述の通り、最長片道切符の経路はここまでとなります。ここからルートを外れて郡山駅まで乗り越します。安積永盛からは郡山まで一駅のため、あっという間です。新白河から郡山までは約40分の道のりとなりました。
【18:45-19:15】 郡山名物のグリーンカレーを食する
ホテルにチェックイン後、夕食に向かいます。この旅では2回目の郡山滞在。今回は名物のグリーンカレーを食べに行きます。
当初は以前食べた郡山ブラックラーメンを同じ店で別のラーメンを食べ比べることを考えていましたが、そのお店どころか、駅周辺にある郡山ブラックラーメンのお店はどこもやってなさそうだったので、グリーンカレーに路線変更しました。普通のカレーでなく、グリーンカレーになったのは郡山市出身のアーティスト「GReeeen」に因んでいるのだそうです。
今回訪問したのは郡山駅から徒歩5分、郡山ビューホテルアネックスにある「spoon」。もちろん、グリーンカレーを注文します。あとはどさくさに紛れてスパークリングワインも。10分程度でグリーンカレーが到着。当然ルーは緑色。具材はチキン、枝豆、パプリカなどがゴロゴロ入っています。また、丸く盛られたライスの上にはフライドオニオンが乗っていて食欲をそそります。
結論、美味しい。グリーンカレー自体が初めての経験で当初少し不安でしたが、スパイシー感とエスニック感が感じられる一品。市販のルーでいう辛口レベルで、辛い物が好きな(そこまで強くはないが)自分にとってはほどよい辛さとスパイスによるパンチがありました。そして、同時にレモングラスのような爽快感があり、これがグリーンカレーというものなのかと知見が広がりました。極めつけはフライドオニオン。これがアクセントになっており、美味しさに拍車をかけてくれました。先ほどの通り、具材もゴロゴロ入っているので、食べ応えもあり大満足でした。
それでは本日の旅程は以上です。お疲れ様でした。
【おまけ】 旅の進捗状況が割とまずい
最長片道切符の使用開始日から有効期間最終日までのうち、本日でそのうち半分が終わりました。北海道の稚内から長崎県の新大村までの切符で、有効期間は56日。切符は3月20日から使用を開始し、本日が通算28日目となりました(動画や当ブログ上では中断日を数えていない等、便宜上の取扱をしているため日数が異なっています)。
本来であれば、進んだ距離も半分程度でないといけないところですが、現状、総距離数の約41%程度しか踏破ができていない状況です。たった9%差かと思われますが、総距離は約11,000kmのため、1%でも約110kmとなかなかスケールが異なるのです。単純計算でも本来踏破しているべき距離から約1,000km近くの乖離があり、現状、1日あたり約230kmの移動が必要です。
結論、1日約230kmの移動は鉄道移動のみであれば、比較的簡単に達成可能です。しかし、あまりきちんとお伝えはしていませんでしたが、この旅では「都道府県ごとに最低1箇所は観光する」、「最長片道切符のルート内の移動は6:00-18:00に限る(移動中に18:00となった場合は乗車中の列車の終点まで移動可)」という縛りルールがあるため、状況的に結構厳しいです。元はといえば、序盤にろくに進捗管理もせず、油断していたのが大きな原因ですが、なかなか難易度が高く、緊張感の抜けない旅になりそうです。
このような状況にありますが、何とかこのルールだけは最後まで曲げずに達成できるようがんばっていきますので、これからもゆるく動向を見守って頂ければと思います(まあ投稿時点では既に達成したか間に合わなかったかの結果は出てるのですが)。
【YouTube】