【最長片道切符の旅#20】東京観光をしながら東京近郊の鉄道をひたすら乗りまくる
最長片道切符の旅20日目。本日は2023年4月18日(火)。茨城県の水戸駅から旅をスタートします。
(最長片道切符の旅の概要はこちらからご覧ください)
この日の旅程は下記の通りです。
【旅程: 最長片道切符の旅20日目(実際のもの)】
※東京都心付近における時刻は省略
※路線名は通称名で記載
■ 水戸駅 (9:08発)
↓ 常磐線 普通
■ 土浦駅 (9:58着/10:00発)
↓ 常磐線 特快
■ 柏駅 (10:32着/-)
↓ 常磐線(常磐緩行線) 各停
■ 新松戸駅
↓ 武蔵野線 普通
■ 南浦和駅
↓ 京浜東北線 快速
■ 赤羽駅
↓ 埼京線 各停
■ 池袋駅
↓ 山手線
■ 日暮里駅
■ 東京観光(谷根千エリア)
・ 昼食(谷中ビアホール)
・根津神社
・谷中銀座
■ 日暮里駅
↓ 山手線
■ 秋葉原駅
↓ 総武線(中央・総武緩行線) 各停
■ 錦糸町駅 (-/14:24発)
↓ 総武本線・成田線 快速
■ 成田駅 (15:30着/15:36発)
↓ 成田線 普通
■ 銚子駅 (16:56着)
お気づきの通り、本日でようやく東京入りが果たせそうです。やはり首都圏だけあり、乗換が多いちょこまかした経路となるので、ルートミスに注意しながら進めていくのがポイントになりそうです。尚、実際の最長片道切符のルートでは総武本線の銚子駅の一駅手前、松岸までとなり、松岸・銚子間はルート外となります。
【9:08発/10:50着】 普通列車でも十分早い常磐線で新松戸へ
それでは水戸駅から旅を始めていきます。水戸から乗車するのは常磐線の品川行き普通列車。この列車で柏まで乗車します。車両は常磐線おなじみのE531系電車。グリーン車がついているため、グリーン車に乗車するか少し迷いましたが、水戸駅の出発直前で乗車したにもかかわらず、ボックスシートがまるまる空いている箇所があったので、今回は課金しないことにしました。
空いた状態で水戸駅を出発。出発してしばらくすると早速緑豊かな車窓が広がります。この辺りは日本三大庭園のひとつ、偕楽園があります。常磐線の線路は偕楽園を真ん中を突っ切る形で通過しており、車窓両側でそれらしい風景を見ることができます(ただし、本園は進行方向右側)。偕楽園の近くには偕楽園駅という臨時駅があり、梅祭りの時期のみに営業するレアな駅です。水戸方面行きのホームしかないのが特徴で、上野方面への列車は物理的に止まれないため、往復利用ができないのが玉に瑕です。
今回、確か10両編成で先頭車両に乗車したため、あまり混まないと思っていましたが、次の赤塚駅で自分の座っているボックスシートに早速別の乗客の方がやってきました。地方、特にローカル線の場合、ボックスシートに一人でもいると、相席が嫌なのか、大抵そこに誰も寄りつかないことはよくあることですが、ここまで来ると相席にためらいがない雰囲気があり、首都圏に来たことを感じます。赤塚駅を過ぎると、水戸市街を抜け、田園風景と住宅街を交互に抜けながら首都圏の方面へと進んでいきます。常磐線は線形がよく、普通列車でも最高時速130km/hで飛ばしていくので、車窓の移り変わりが早く、景色自体に大きな特徴はないものの、これだけでエキサイトします。
途中の土浦駅へ到着。予定では柏までこの列車を乗り続けるつもりでいましたが、車掌さんからの放送で、土浦始発の特快があり、そちらが先に出発することが判明。後の予定が詰まっているので、急遽乗り換えることにしました。品川行きの特快に乗り換えて柏駅まで行きます。特快は途中の取手駅までは各駅に停まりますが、この後に真価を発揮します。
取手駅からは「電車特定区間」(実際の意味は東京・大阪付近の特に利用者の多い線区・区間で通常の運賃よりも割安の運賃を設定している区間のこと)という首都圏の中の特に都会の区間に入り、ここからいわゆる「常磐快速線」の区間へ入ります。快速線に並行する形で常磐緩行線の線路もある複々線の区間で、実感としても都会感が増します。この複々線の区間においては快速列車の停車駅は少なくなりますが、現在乗っている特快はさらに停車駅が絞られており、取手を出ると柏・松戸・北千住・日暮里のみの停車となります。成田線の乗換がある我孫子駅や他社線との乗換がある南千住駅をも通過してしまう、特急料金不要の列車ではかなり早い部類の列車になると思います。
取手の先で利根川橋梁の通過とともに千葉県へ入り、すごい勢いでしばらく走っていると、まもなく柏駅へ到着です。今回の旅における常磐線の区間は新松戸駅までですが、快速は通過するため、緩行線のホームへ行き、各駅停車に乗り換えます。常磐緩行線は東京メトロ千代田線・小田急線へ乗り入れを行っている関係で、東京メトロ・小田急といった他社の車両が走っており、その点では首都圏のJRの路線の中では少し珍しい路線となっています。今回は東京メトロ16000系の車両に当たりました。この最長片道切符の旅は基本JR縛りのため、他社線の車両に乗る機会は少なく、些細ながらも少し気分転換になります。
途中、北小金駅へ停車。この駅は大晦日と元旦の終夜運転を行う時のみにできる最長大回りの旅の出発駅です。北小金駅から2駅先の馬橋駅までの2.9kmを規則に反しない範囲で遠回りに遠回りを重ねると1035.4kmになり、改札を出なければ150円でできてしまうお手軽のようで全然お手軽でない旅です。実は2018年/2019年の年越しの際にこの旅をやったことがあり、終えた直後は「このような辛い旅はもうやらない」ことを思っていたのに、別の形でこんな修行みたいことをやってしまうとは。いやはや、自分が学習しない人間であることを感じました。
【10:52発/12:04着】 首都圏の「乗換修行」を経て日暮里へ
それでは新松戸駅へ到着、柏駅からはたったの3駅でした。ここからはかなり忙しくなります。新松戸で武蔵野線で乗り換えます。乗換時間はたったの2分。ギリギリの乗車で、南浦和駅へ向かいます。途中、南流山・三郷駅間で江戸川橋梁を渡り、千葉県から埼玉県へと入ります。
武蔵野線はもともと貨物が都心部へ入るのを避けるためのバイパス路線として計画された路線で、その象徴といえるのが三郷・吉川間にあった武蔵野操車場です。かつての貨物列車は操車場という貨物の中継地点のような場所を設けており、あらゆる行先の貨車がつながれた編成が一旦、中継地点で貨車の付け替えをしたうえで、最終の貨物駅まで荷物を輸送する形態を取っていました(人が途中駅で列車の乗換をするように引っ張られる列車を変えながら最終目的地を目指すイメージ)。武蔵野操車場は1974年に設けられた国内最大規模の操車場で、当時としては最新鋭のシステムをもって、貨車の仕分等を行なっていました。しかし、当時の国鉄の経営悪化に伴い、1984年に機能停止、1986年に廃止された短命の鉄道施設でした。これにより使われなくなった鉄道用地は民間に払い下げられ、現在ではららぽーとやイオンなどのショッピングセンターや宅地開発などが行われています。いまでも一部ではあるものの、当時の操車場の痕跡が多少残っており、当時の活躍ぶりと衰退の歴史を垣間見ることができます。
新松戸から約30分で南浦和駅へ到着。ここで京浜東北線に乗車し赤羽駅まで行きます。実際のところ、「京浜東北線」は通称で、今回乗車する区間は正式には「東北本線」となり、手元の最長片道切符の経路にも、この区間は東北本線と記されています。川口・赤羽駅間では荒川橋梁があり、ここでついに東京都に達します。
そして、赤羽駅からは埼京線に乗車し、池袋駅まで向かいます。「埼京線」も同じく通称で、今回乗車する赤羽・池袋駅間は正式には「赤羽線」といいます。板橋・池袋駅間で、東武東上線や山手線の線路が並走し、独特のごっちゃりした街並みが見えてくると池袋駅へ到着です。
次は東京の大動脈、山手線へ乗り換えて、日暮里駅まで行きます。都内在住で、山手線はかつて通勤で使っていたため、どこかホームに戻って来たような安心感を覚えました。とはいえ、自宅には帰る予定はないのですが。
田端駅に着くと、正式には東北本線の区間へ入り、まもなく日暮里駅へ到着します。
【12:04-14:04】 慌ただしく東京・谷根千エリアをプチ観光
日暮里駅へ到着。これから東京都内でも有名な谷根千エリアを少し観光していきます。「谷根千」とは台東区の谷中、文京区の根津・千駄木をまとめた呼称で、戦時中の被害や大規模な開発を受けなかったことから大正から昭和にかけての街並みが残る地区として知られています(よく下町として紹介されるが下町ではない)。
それではまずお昼時なので、昼食タイムとします。日暮里駅の裏口にあたる西口から谷中を歩きます。狙っていたお店があるものの、路地裏の方にあるため、迷いに迷うこと約15分、本日のターゲットである「谷中ビアホール」さんに到着。本来であれば、日暮里駅南改札口から徒歩7分くらいのところにあります。
谷中ビアホールは1938年に建てられた古民家を改装して作られた昭和風情のあるビアホールです。「谷中ビール」というクラフトビールを醸造・販売しており、ここでしか飲めないビールもあるようです。平日の昼時ですが、東京までついたことの記念とこれまでの労いをかねて思い切り飲みます。
谷中ビールの中にも数種類あり、まずはスタンダードの「谷中ビール」を頂きます。色はやや黒ビールに近く、味もやはり黒ビールにあるようなコクが感じられます。おつまみは「クリームチーズの西京漬け&ブルーベリー」を選択。いきなりデザートのようなものを頼んでしまいましたが、まあよいでしょう。そもそも、西京漬けというと味噌床への漬けた物を意味すると思うが、「クリームチーズの西京漬けって?」という疑問を思いながら口にしましたが、美味しい。特に味噌の味はせず、クリームチーズにほのかな塩味を感じました。その上に甘さ控えめのブルーベリーソースがかかっているので、恐らく甘さとしょっぱさのマリアージュ的なものと思います(塩キャラメル的な)。
続いて、「アウグスIPA」。こちらは谷中ビールではないものの、こちらも東京発祥のビールです。やはりIPAだけあって、苦味は強め。一方で、マスカットのような香りが鼻を抜けます。感覚として、「インドの青鬼」に味が近いです。続いて二品目のおつまみ、「あさりの佃煮」。この渋い味は苦味の強いアウグスIPAと相性が良いです。
調子に乗ってビールをもう1杯、「谷中ビター」。こちらは「ビター」と付いている一方で、そこまで苦さは感じず、味の奥行きを感じました。結論、どれも美味しい。
お会計はこれでおよそ4,400円。ビールは一杯1,000円を超えるので相場より少し高いですが、ビールそのものの品質とお店自体の雰囲気は良いので、個人的には全然この額であれば文句なく出せるように感じました。尚、平日日中でもある程度お客さんが入っていたので、特に休日の利用であれば予約した方がよいかもしれません。そういえば、おつまみばかりでまともに物を食べていない気がしますが、貴重なアルコールという動力源を確保できたので、これで良いことにします。
谷中ビアホールは30分で出るつもりが、居心地が良すぎて45分も時間を使ってしまいました。というわけでほろ酔いながらも早足で次のスポットへ向かいます。
たどり着いたのは「根津神社」。文京区の根津にある有名スポットです。訪問したのは4月中旬。名物のツツジが綺麗に咲いていました。濃いめの朱色が特徴の社殿はなんと1706年に建てられたもののようです。今回は混雑しており、お参りができず、その場を後に。「何をしに来たんだ」と突っ込まれそうですが、それだけ時間が危ういということなのです。
最後は急ぎ足で「谷中銀座」へ。ゆっくりと見ることはできませんでしたが、「三丁目の夕日」に出てきそうな昭和風情のある商店街は雰囲気があり、タイムスリップしたかのような錯覚を与えてくれました。途中の名所、「夕焼けだんだん」は商店街を俯瞰して見られる絶好のスポットです。そして名前の通り、夕刻の時間帯には夕焼けと映る街並みが非常に良い景観を生む場所として知られています。
それでは日暮里駅西口へ戻り、東京のスピード観光はこれにて終了です。
【14:04発/14:20着】 千葉方面の玄関口、錦糸町へ
それでは移動の再開です。日暮里駅から山手線の外回りに乗車して、秋葉原駅へ向かいます。日暮里・上野駅間には全国でも最も線路数が多いといわれる5複線の区間などを眺めながら、秋葉原駅へ到着します。ここからしばらく、総武本線の区間に沿って移動していきます。ここで中央・総武緩行線に乗り換えます。
結論、これからは千葉県方面へ進みますが、途中の両国駅はかつて千葉方面の都心側のターミナル駅となっていた場所です。緩行線の1・2番線ホームより少し低い場所に行き止まりとなっている臨時の3番線があり、その名残を感じさせます。かつては6番線まであり、留置線や貨物設備が広がっていたようです。いまでは鉄道用地が縮小しており、その跡地には名所である両国国技館や江戸東京博物館が立地しています。そして、両国を出るとまもなく錦糸町駅へ到着です。
【14:24発/15:30着】 総武快速線で成田へ
錦糸町から4分という短い接続で総武快速線(総武本線)の成田空港行きに乗り換えます。都心から成田方面まで直通する列車(普通列車)は1時間に1本のため、東京観光のときから「これだけは逃すまい」という思いで行動していました。実は日暮里駅出発時点で、当初乗ろうとしていた山手線の列車に乗り遅れており、この列車に間に合うか少しヒヤヒヤしていました(執筆中のいま思えば、観光の時間を伸ばして、以降の予定を1時間遅れにしても問題なかった気もしているが)。
途中、小岩・市川駅間でJR江戸川橋梁を通過するとともに千葉県へ入ります。総武本線でも常磐線と同様、快速線と緩行線が千葉まで並走しているため、時折、緩行線の列車をぶち抜いていく様子が爽快です。これは地方だとなかなか味わえない醍醐味です。
千葉駅を越え、四街道を過ぎると少しずつ車窓が田園風景に変わってきます。そして、総武本線と成田線が分岐する駅、佐倉へ到着します。ここまで来ると、だいぶ千葉県の真髄部分(?)に入っている気がしますが、千葉県を旅するにあたっては忍耐が求められるポイントが2つあり、まずはこの成田線・総武本線の区間です。佐倉で総武本線と成田線が分岐し、この両路線は再度、銚子の一駅手前の松岸駅で再度合流します。最長片道切符の旅のルートは一筆書きのため、一周こそはしないものの、ほぼそれに準じる動きで佐倉の近くまで戻ってくるというルートを取るため、進んでいる実感を得にくいのです。もう一つのポイントはまた明日の記事にて。
それでは佐倉駅からは成田線へ入り、しばらく乗車すると成田駅へ到着します。
【15:36発/16:56着】 成田線で銚子へ
成田駅で再度乗換をし、成田線の銚子行き普通列車へ乗車します。車両は首都圏の第一線から身を引き、房総で第二の人生を歩んでいる209系電車です。
成田を出発すると成田空港方面と我孫子方面の線路と分かれていきます。これらはいずれも成田線という同一の路線。同じ路線にかかわらず、まったく違う場所へ行くため、初心泣かせな路線です。車窓自体に大きな特徴はなく、駅間は田園風景、駅が近づけば街が現れるといった風景が繰り返されます。強いて言えば、途中の佐原は「北総の小江戸」と呼ばれており、川に沿って伝統的な街並みが見られます。車窓から一瞬ではありますが、佐原駅を出発した直後に進行方向右側にその風景が見られます。
次の香取駅は鹿島線との分岐駅。左手に鹿島神宮方面の線路が分岐していきます。鹿島神宮駅からは鹿島臨海鉄道が出ており、これを乗り通すと本日の出発地、水戸へたどり着きます。これを思うと、本日のルートがいかに非合理的かがわかります。
銚子の一駅手前、松岸で総武本線の線路と合流します。本来であれば、ここで総武本線へ乗り換える必要がありますが、今回はそのまま銚子へと進んでいきます。ここまで来てまた内陸に入るのももったいないですからね。そして少しして銚子駅へ到着。ここが本日の最終目的地となります。
【18:45-19:15】 銚子の名店で夕食
銚子へ到着後、ホテルにチェックインし、夕食へと出かけます。
今回訪問したのが、銚子駅から徒歩10分のところにある「鈴女」さん。銚子漁港の前に位置し、様々な海鮮料理が楽しめるお店です。観光客に人気で行列ができることもあるのだとか。しかし、本日は平日夜ということもあり、待つことなく入れました。夜は居酒屋のような雰囲気となっており、地元らしき方が飲み会で使っているようでした。
今回頂いたのは「あなご天丼」。大きな穴子天が3切れと、野菜天ぷらがのった豪勢な一品。味噌汁付きでやはり銚子らしくあら汁です。穴子天は天つゆが染みており、穴子は身がふっくらとしており、美味しいです。野菜の天ぷらはなすやピーマンなど。こちらも同様に美味しかったです。ちなみに、昼はあれだけ飲んだので、お酒は自重してソフトドリンクにしました。
ほかにも、海鮮丼や焼き魚、煮魚など、様々な海鮮料理があるので、銚子に寄った際は立ち寄ってみるとよいかと。
それではせわしない日程でしたが、無事に旅程を終えることができました。本日もお疲れ様でした。
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