【最長片道切符の旅#2】過酷な山越え路線、石北本線で旭川から網走へ

最長片道切符の旅2日目。本日は2023年3月21日(火・祝)。
旭川から旅を再開していきます。
本日の旅程は以下の通りで、途中の観光・散策はなく、移動に専念していきます。
(超遠回り全国鉄道縦断旅行、あるいは最長片道切符の概要はこちらからどうぞ)

【旅程: 最長片道切符の旅2日目】
■旭川駅(9:16発)
↓ 石北本線 普通
■上川駅(10:16着/11:08発)
↓ 石北本線 普通
■遠軽駅(12:38着/13:00発)
↓ 石北本線 普通
■網走駅(16:01着)

尚、上記ルートのうち、最初の2駅間、旭川・新旭川間は最長片道切符のルート外となり、新旭川駅より本来の最長片道切符のルートに復帰します。
また、北海道では総合振興局・振興局ごとに観光をするルールとしており、旭川が属する上川総合振興局では一旦観光を行わずスルーし、大回りして戻ってきた際に観光をしていきます。

【9:16発】旭川駅を出発し、石北本線で上川へ

それでは旭川より石北本線の旅となります。
石北本線は旭川駅の2駅先、新旭川駅から上川・遠軽・北見を経由して網走駅までを結ぶ全長234.0kmの路線です。
便宜上、本記事では旭川からを石北本線扱いとしていますが、厳密には旭川・新旭川間は宗谷本線となります。


石北本線は特急大雪が走りますが、本日はあえて全区間をのんびり普通列車で走破します。
本日の1本目は普通列車の上川行き。車両はJR北海道が2020年に導入した新型車両の「デクモ」(H100形気動車)です。

旭川駅
旭川駅
H100形気動車
H100形気動車

旭川・上川間における車窓のポイントはやはり大雪山系の山々。進行方向右手に見えてきます。
大雪山は桜岡駅付近から見え始め、終点の上川駅まで断続的に見えます。

個人的には上川駅に到着する直前の大雪山がおすすめ。一番はっきり見えるスポットとなります。

車窓から見える大雪山系の山々
車窓から見える大雪山系の山々

また、混雑状況については思ったよりも利用がある印象。
飛び石の祝日(春分の日)なので、そこまで混んでいないと思っていましたが、
旭川出発時点で座席はほぼ埋まっており、数人の立ち客がいる状態でした(ボックス席には空席もあるのですが)。
その後、南永山駅で学生さんと思わしき乗客が10名近く降りていき、一気に空席が目立つようになりました。

【10:16着】 上川駅到着

1時間の乗車で列車は終点の上川駅へ到着。

ここから先に進むにはここで乗換えが必要になります。次の列車まで50分程度あり、途中で昼食をとる時間がないことがわかっていたので、
駅から徒歩3分のセイコーマートで昼食を調達しました。

上川駅
上川駅

上川駅近くのセイコーマートはホットシェフ付。
ホットシェフがあるセイコーマートは店内でお弁当などを作るので特に美味しいご飯が手に入るのです。
ただし、車内で「においテロ」を起こすのもあれなので、控えめにホットシェフのベーコンおかかのおにぎりと
お惣菜のピリ辛焼きそばとザンギをセレクトしました。

上川駅に戻り、しばらく待っていると改札が始まり、次は普通列車の遠軽行きに乗り込みます。

上川から先は山越えの区間となり、列車の本数がめっきりと減ります

上川より旭川方面の列車は14本(休日は13本、うち特急は4本)であるのに対し、
遠軽方面の列車はたったの6本(うち特急4本)のみです。
特に普通列車に関してはこれから乗る11:08発の遠軽行きの1日1本のみです。
(特急を除く残りの1本は特快「きたみ」)
そんな貴重な普通列車に乗車したく予定を立てていった結果、そのほかの列車もすべて普通列車となったのです。

キハ40系気動車(上川駅)
キハ40系気動車(上川駅)

【11:08発】上川を出発、1日1本だけの普通列車で北見峠を通過

いよいよ、1日1本の普通列車、遠軽行きが上川を出発。
上川・遠軽間で特筆すべきなのは北見峠の険しい山越え区間です。

今回の車両はキハ40系気動車。JR北海道の古参であるこの車両にとって北見峠は厳しい地形です。
上川を出発して厳しい登り勾配を止まりそうな速度で登っていくのが特徴です。

また、上川の次の駅、白滝駅までの距離は日本一長い37.3kmです。この間に北見峠が位置します。
しかし、元からこの長さだったかというと、そういうわけではなく、
この間にあった駅が次々と廃止されたことが大きな理由です。

もともと、この区間には天幕・中越・上越・奥白滝・上白滝の5駅がありましたが、
いずれも利用者僅少につき、時期は違えど、軒並み廃止をされていきました。
そのうち、交換設備のあった中越・上越・奥白滝は現在でも列車交換のための信号場として運行上の拠点の一つとなっています。

上越信号場の詰所
上越信号場の詰所。元は上越駅の駅舎だった。

この列車を利用していて興味深ったのが、この列車が保線員の方をも輸送していたこと。
列車が中越信号場に着くと、列車に乗車していた数名の方がはしごを使って下車、
そして、乗車する方も数名いました。恐らく、シフト勤務の交代かと思われます。
同じことが上越信号場でも行われており、列車内外の保線員同士で列車の出発時に手を振りあっていたのが印象的でした。
利用者や列車本数は少ない石北本線ですが、こういった方々のおかげで成り立っていること、忘れないでいたいものです。
ちなみに、奥白滝信号場はそのまま通過、上白滝駅跡を通過するとようやく白滝に到着します。
隣の駅同士なのに、所要時間は51分もの時間をかけます。
中越信号場や上越信号場で乗り込んできた保線員の方々は皆、白滝で下車されていきました。

白滝駅で北見峠の峠越えは終わりましたが、知っていると興味深いことがもう一つ。
白滝の次の駅は丸瀬布ですが、この間にもかつて旧白滝・下白滝という駅があったことです。
そのうち、下白滝の方は信号場として現在も運行上の拠点となっています。

この列車は2両編成での運転で、全体的に空いていた印象。
上川出発時点では3ボックスにつき1組が座っており、ほかの2ボックスは誰もいない程度でした。
予想では途中駅からは誰も乗らないものと思っていましたが、
丸瀬布からは1名、その次の瀬戸瀬からは2名(うち1名は観光客と思われる)の乗客がありました。

【12:38着】 遠軽で2回目の乗換え、、、と思いきゃ

上川駅から1時間30分の乗車で終点遠軽へ到着です。
ここで再度乗り換えを行います。

遠軽駅は石北本線の途中駅ではありますが、行き止まり、つまりスイッチバックの駅で
この駅で全列車の進行方向が変わります。
もともとはこの駅から名寄本線という路線がでていて、紋別・名寄方面を結んでいました。
駅には案内標があり、列車の行先とのりばを点灯させる仕組みですが、
そこに紋別・名寄方面の表示が残っており、当時の様子をここから窺うことができます。

遠軽駅駅名標
遠軽駅駅名標
遠軽駅の行き止まり側
遠軽駅の行き止まり側。かつてはこの先に名寄本線の線路が延びていた。
遠軽駅ののりば案内
遠軽駅ののりば案内。下段に「紋別・名寄方面」と廃止された路線の表示がある。

しばらくすると、遠軽まで乗ってきた列車と同じ列車の扉が開きます。
違う列車に乗り換えかと思っていたら同じ列車がそのまま先まで向かうようでした。恐らく車内整備などの関係でしょうか。
この列車の行先は網走行き。石北本線の終点まで運んでもらいます。

【13:00発】 遠軽からゆっくりと網走へ

ようやく出発時刻となり、列車は遠軽を出発。
今まで走ってきた上川方面の線路と分岐し、北見方面へと進みます。

遠軽・網走間における一番のハイライトはやはり常紋峠。常紋峠は生田原・西留辺蘂間にある山越え区間です。
北見峠のときと同じように、ディーゼル音をうならせながらゆっくりと山を登っていきます。途中にあるのが、常紋トンネル。
ここは石北本線を語るうえで外せないスポットです。
1914年に開通したこの区間の建設時に行われたのが「タコ部屋労働」というもの。
「タコ」と呼ばれた労働者は粗末な寝床、食事しか与えられない状態で、過酷な肉体労働に長時間従事させられ、脚気などで倒れるとその死体は遺棄されました。石北本線の建設現場の場合、トンネルの人柱として埋められたという言い伝えもあり、常紋トンネルがその舞台になっているとのこと。
そのこともあり、常紋トンネルは心霊スポットとの噂も。
しかし、現代の我々が旅を楽しめているのもこの人たちの犠牲があったからこそ。恐れて通るのではなく、感謝しながら通りたいものです。

常紋トンネルのある山を越えると、北見市の留辺蘂地区へ。さらに進むと北海道の主要都市のひとつ、北見に到着します。

この列車の謎ポイントがあり、それが北見駅での31分間の停車です。
何か行き違いか特急の追い越しでもあるのかと待っていましたが、出発時刻が来て何事もなく出発。
「いや何もないんかい!」と心の中で突っ込みを入れてしまいます。
ちなみに北見からは空いている列車に学生さんが多く列車に乗り込んできました。休日なので恐らく部活帰りとかでしょうか。
北見からの学生さんのほとんどは北見市街のある端野までで下車していましたが、一番遠い学生さんだと山を越えた美幌まで乗車をしている様子でした。

北見駅で休憩するキハ40系気動車
北見駅で休憩するキハ40系気動車

ここまで来ると網走までもう少し。女満別駅を出発すると、もう一つの車窓のハイライトが近づきます。それは網走湖です。
女満別駅を過ぎると木に隠れながらも、車窓左手に網走湖が見えてくるようになります。呼人駅を見せるとしっかりと見えるようになります。
時期は3月ながらもほとんどのところは凍っており、北海道の冬の長さを実感させられます。

網走湖の車窓
網走湖の車窓

網走湖の景色が終わるとまもなく、終点の網走です。接続時間を含め、旭川から約7時間かけてきました。
特に乗っていただけではありますが、謎の達成感を感じた次第です。

網走駅
網走駅

【16:01着】網走へ到着

網走へ到着しました。夕食まで少し時間がありますので、ホテルにチェックインします。

網走川と網走市街
網走川と網走市街。ホテルに向かう途中にて。

今回予約したホテルは「網走ロイヤルホテル」さん。結論、高コスパなホテルでした。
網走駅から徒歩5分と好立地。シングルにしては広く事務用の机だけでなく別途窓際に椅子とテーブルもありました。
大浴場もあるので、ゆっくりと入浴ができます(筆者訪問時は男女のうち一つが改修工事中で時間で男女を入れ替えていました)。
このクオリティで1泊素泊まりで5,290円。直前割だったということもありますが、ここを選んで正解でした。

網走ロイヤルホテル
網走ロイヤルホテル
網走ロイヤルホテルのシングルルームの一室
シングルルームの一室
水回り
水回り。風呂については大浴場がある。

【19:30-20:45】 酒菜亭 喜八で夕食

今回は「酒菜亭 喜八」さんで夕食にします。このお店はミシュランガイド北海道で2期連続ビブグルマンを取得した居酒屋さんです。
北海道を中心とした全国の地酒と看板料理の鯨、オホーツクの食材が美味しいお店です。

「喜八」外観
「喜八」外観

地酒に関しては頼もうとしている料理に合うものを提案してくださり、カジュアルな雰囲気ながらも、一流の仕事をされているように感じました。
料理も美味しく、ついつい結構頼んでしまいました。その食べっぷりを気に入っていただけたのか、日本酒を1杯サービスしてくださりました。
今回は合計で日本酒3杯(うち1杯はサービス)、フード6品でそこそこ飲み食いしましたが、これで約6,500円ほど。値段についても良心的です。

ちなみに、翌日は平日なのにかかわらず、席は常に埋まっていました。今回も当日に予約をしていたから入れたもので、恐らく予約しないと入店のチャンスが得られないかと思います。
筆者が自信をもっておすすめするお店です。網走宿泊の際は絶対に予約して行ってください。
最後に飯テロを起こして皆さんに暴飲暴食のきっかけ(お腹の起爆剤投入)を起こして終わりにします。

お通しと地酒1
お通しと地酒1
鯨のベーコン
鮭のハラス焼き
鮭のハラス焼き
愛別産舞茸の天ぷら
愛別産舞茸の天ぷら。ちなみに愛別は石北本線が通るところ。この日、ここを通っていました。
ホタテを焼いたもの
ホタテを焼いたもの(正確なメニュー名忘れました)
網走ポークのステーキ
網走ポークのステーキ
地酒2
地酒2、このほかあと1杯サービスして頂けました。

それでは本日の旅程はこれで終了です。
お疲れ様でした。

【YouTube】最長片道切符2日目