【最長片道切符の旅#1】最北の鉄道路線、宗谷本線で稚内から旭川へ
最長片道切符1日目。さて、ついにこの日がやってきました。人生最大規模の旅のスタートです。
この旅は北海道稚内市の稚内駅から始まり、全国各地を大蛇の描く曲線のごとく遠回りしながら長崎県大村市の新大村駅へ向かうというもの。
移動距離約11,000kmを1枚の切符(=最長片道切符)で移動し続けていくという途方もない旅となります。
(最長片道切符の意味や今回の旅の概要はプロローグをご覧ください)
本日は2023年3月20日(月)。ここは北海道稚内市。まさに旅のスタートラインに立っています。
いつもであれば旅行というと楽しみな気分になるところですが、いまだかつてやったことのない計画を前にして楽しみ半面、不安も少し入り混じっている点で、普段の旅行と少しマインドが異なっています。
(そもそも計画もこの時点で7日分しか立っていません)
まあ、そんなこと言っていてもあれなので、本日の行程を始めていきます。旅程は以下の通りです。
【旅程: 最長片道切符の旅1日目】
■稚内駅(9:25発)
■宗谷観光
●ノシャップ岬
・稚内恵山泊漁港公園(9:40-9:55)
・ノシャップ寒流水族館/稚内市青少年科学館(10:00-11:10)
・市街へ戻り「デノーズ」で昼食(11:40-12:30)
●稚内市街散策(12:30-12:55)
■稚内駅(13:00発)
↓宗谷本線 特急サロベツ4号
■旭川駅(16:49着)
【9:10発】 ホテル”HOTEL TRUNK WAKKANAI”から稚内駅へ
そもそもこんなに早く稚内にいるのも、稚内に前日入りしていたためです。
前泊で宿泊していた”HOTEL TRUNK WAKKANAI”さんをチェックアウトします。
快適なホテルだったので、正直もう少し滞在していたかったです。
駅から徒歩6分と近く、部屋も広く、部屋から北防波堤ドームが見え、大浴場もある等、良いところをあげるとキリがないくらいです。
その割には素泊まりで1泊7,000円と高コスパでした。
今回の旅では関係ありませんが、稚内ではもう一軒、「ホテル美雪」さんもお勧めです。
【9:25発】稚内駅からいざ宗谷観光へ
すぐに稚内を出発することはしません。
というのも、プロローグで書いた通り、マイルール上、北海道内では総合振興局・振興局(北海道をエリアごとに14区分したもの)ごとに観光・散策をする必要があるためです。
それを差し引いても稚内は観光のしがいがある土地ですので、少し稚内を楽しんでいきます。
【9:40】 ノシャップ岬着→稚内恵山泊漁港公園
稚内駅前ターミナルより宗谷バスに乗車し、稚内市街地から近いところにある、
「ノシャップ岬」へ向かいます。ノシャップ岬の最寄りバス停は「ノシャップ」です。
ノシャップ岬へは「ノシャップ」バス停から徒歩5分ほど。
まずは「稚内恵山泊漁港公園」へ。
ノシャップ岬をご存知の方であれば真っ先に思い浮かべる場所がここになります。
広場の真ん中にいるかのオブジェがあるのが特徴です。
稚内恵山泊漁港公園の醍醐味は一面に広がるオホーツク海の景色を眺めること。
また、天気が良ければ、利尻富士こと利尻山を眺めることができます。
利尻山の方向は「ノシャップ岬」の看板がある方向です。
そして、公園内からは見えませんが、公園を背に左側、水族館の駐車場方面へ歩いていくと、
宗谷岬の方面が見えてきます。
宗谷岬といえば、いわずと知れた一般人がアクセスできる最北端の場所として有名ですね。
宗谷岬は稚内駅からバスで片道50分~60分ほどかかってしまうので、旅程に組み込めず、今回はお預けです。
【10:00-11:10】 ノシャップ寒流水族館・稚内市青少年科学館
ノシャップ岬からの景色を楽しんだ後はすぐ近くにある「ノシャップ寒流水族館」へ。
いうまでもなく、日本最北の水族館です。
北方に生息する海の生き物たちの展示が充実した水族館です。
入ってすぐに屋外にある2つの水槽にはアザラシが泳いでいます。
自由に泳いだり休んだりする姿はなかなか愛くるしいものです。
館内にはクリオネ・エゾメバル・イトウ・ミズダコ・フンボルトペンギンなど、
北の海ならではの生き物たちがたくさん見られます。
ちなみに、このノシャップ寒流水族館。
「寒流」を称していながら、稚内近海の宗谷海流は、実は「暖流」なのです。
なぜ、水族館の名称に「寒流」が使われているかは
歴史が古く、現役のスタッフの方の間でもよくわからないらしいです。
水族館の後は隣接する「稚内市青少年科学館」へ。
子供向けの展示が主ですが、稚内旅行で見ておきたいのが付属施設の「南極越冬隊資料展示コーナー」。
昭和31年(1956)年に第一次南極観測隊が南極入りをしていますが、
それに同行したタロとジロという犬たちをご存知の方は多いと思います。
タロとジロは稚内の生まれで、南極入りをするにあたって市内で訓練を受け、
南極へ渡航したそうです。観測隊員たちは南極の厳しい気候にさらされ、
タロとジロを残して南極を余儀なく立ち去った時期がありましたが、
1年後に南極を再訪したところ、タロとジロは生き残っていたという逸話があります。
その後、タロとジロは稚内で余生を過ごしたとのことです。
南極越冬隊資料展示コーナーでは上記のタロとジロの逸話のほか、
観測隊員の暮らした居住棟や雪上車の展示が見られます。
上記の水族館と青少年科学館はセットで大人の入場料は500円(2022年3月現在)。
ゆっくり回った場合、水族館が30分、青少年科学館は30分を見ておけば十分と思います。
【11:40-12:30】 デノーズで昼食
宗谷バスで「ノシャップ」バス停から稚内駅前ターミナルに戻り、
腹ごしらえをします。
今回選んだのは稚内駅から徒歩3分の場所にある「デノーズ」さん。
イタリア国旗が入った黄色い建物がそのお店です。
このお店は元米軍のお抱えシェフだったマスターの作る洋食が自慢のお店です。
今回は特に人気の「スラッピージョー」を注文。
スラッピージョーとはバンズに挟まれた直径18cmという巨大なハンバーグに
惜しみなくチーズをのせ、オーブンで焼いた一品。
味はジャンキーの極み。やはりおいしいです。我々のイメージするアメリカ料理そのもの。
人間の本能が求める味というやつです。
途中で味が飽きたら、料理と一緒に運ばれてくるタバスコとハバネロソースで適宜味変しましょう。
サイズは大きいですが、筆者は無事にすべて平らげることができました。
チャレンジする際は富士急のジェットコースターに乗るときと同じ覚悟で頼みましょう。
このスラッピージョーは1,400円(2022年3月現在)。
また、直径18cmの米軍バーガーも名物。その他、ピザやパスタなどもあります。
ただし、昼のみの営業で夜の営業はありませんので、
日中稚内に滞在しているときは足を運んでみるとよいと思います。
【12:30-12:50】 稚内市街をスピード散歩→稚内駅へ
スラッピージョーで恐らく体重が1トン増しになったので、
腹ごなしに稚内駅まで遠回りしつつ散歩していきます。
やはりその中で「北防波堤ドーム」は外せません。
もともとは昭和6年(1931)に樺太との定期船発着所として、
アーチ型構造物として着工し、昭和11年(1936)に完成。
しかしながら、老朽化により、ローマの柱廊を意識した構造物として
昭和55年(1980)に再建されたそうです。
ちょっと時間がなくなってしまい、競歩ばりのスピードで北防波堤ドーム周辺を歩き、
ホテルで預かってもらった荷物を回収し、稚内駅へと戻ります。
【13:01-16:49】 特急サロベツ号で稚内を発ち、旭川へ
稚内駅から特急サロベツ4号 旭川行きに乗って稚内駅を出発します。
稚内駅から旭川駅では宗谷本線の線路を走行します。サロベツ号は稚内から名寄を経由し旭川へ至る259.4kmを駆け抜けます。
乗車の際は進行方向右側がおすすめ。
特急サロベツ号で宗谷本線を走るうえで、車窓など楽しむべきポイントは下記3つです。
【特急サロベツ号を楽しむポイント】
① 稚内市街を外れた後に広がる日本海の景色(進行方向右側: 南稚内・抜海間)
② 蛇行する雄大な天塩川 (進行方向右側: 天塩中川・名寄間)
③ 名寄を出発してからの走りっぷり(急に速度が上がる)
上記③については名寄以南において、高速化工事が行われていることに起因します。
稚内・名寄間はカーブが多いうえ、線路も規格も高くないため、時速95km/hが最高速度となっていますが、
名寄・旭川間は高速化工事が行われているため、時速120km/hで駆け抜けます。
名寄を出発して旭川までの後半の区間を飛ばして走る列車の姿はまるで夏休みの宿題をさぼって後で焦る小学生かのようです。
ちなみに今回は自由席に乗車。
いままでの経験上、よほどの観光シーズン(GWなど)でなければ、
稚内でサロベツ号に乗車する際はわざわざ指定席をとらなくてもよいと思っています。
また、旭川駅の2駅手前に新旭川という駅があります。
本来の最長片道切符の旅のルートでは新旭川駅までとなっているので、
ルート外の新旭川・旭川間については別途乗車券を購入して乗車しています。
さて、約3時間50分にわたる長旅を経て、旭川へ到着です。
旭川駅の駅舎は近代的で何度みてもきれいです。
【19:00-19:50】 旭川の地ビール工場併設、大雪地ビール館でビール三昧
昼食のスラッピージョーがまだ600kg程度消化しきれていなかったため、
夕食は節制しようと思います。つまり、昼は暴食したので夜は暴飲しようということ。
というわけで訪れたのが、「大雪地ビール館」。
旭川の地ビールである大雪地ビールと旭川名物を含むそれらに合う料理やおつまみを楽しめます。
旭川駅から徒歩5分の好立地です。
駅前すぐのところを横に通る宮下通を駅を背に右方向に歩いていくと、
赤煉瓦の建物が見えてくるのでそれが目印です。
席に着き、「5種のビールお試しセット」を注文。
大雪地ビールの主力商品を少しずつ試せるビール好きにとっては理想的な一品です。
おつまみとしては定番の枝豆(十勝・中札内産)と旭川名物の「旭川チャップ」を注文。
旭川チャップは豚肉の切り落としに焼き鳥のたれをかけた一品。
シンプルではあるものの、甘辛のタレが絡んでおり、ビールが進みます。
そしてデザート代わりに「抹茶ビール」なるものを注文。
旭川の茶屋の抹茶を使用したビールです。
意外と苦みは抑えられており、ビールが苦手な人でも楽しめる一品かと思います。
ビールなのに色は深緑とビジュアルでも楽しめるのがよいですね。
なんだかんだで確かビールはお試しセットを含めて2回くらいお代わりしたと思います。
(美味しかったものの「暴飲」までには至らず)
それではこれをもって、本日の行程は終了。
お疲れ様でした。
【YouTube】最長片道切符の旅1日目