【最長片道切符の旅#21】日本一初日の出の早い銚子を観光し、驚異の普通列車で房総半島を行く

最長片道切符の旅21日目。本日は2023年4月19日(水)。千葉県の銚子駅から旅をスタートしていきます。
(最長片道切符の旅の概要はこちらからご覧ください)

この日の旅程は下記の通りです。

【旅程: 最長片道切符の旅21日目】
■ 銚子観光
  ・ヤマサ醤油-しょうゆ味わい体験館
 ● 仲ノ町駅 (10:22発)
 ↓ 銚子電鉄 普通
 ● 犬吠駅 (10:40着)
  ・地球の丸く見える丘展望館
  ・犬吠埼
  ・昼食
 ● 犬吠駅 (12:49発)
 ↓ 銚子電鉄 普通
 ● 銚子駅 (13:05着)
■ 銚子駅 (13:49発)
↓ 総武本線 普通
■ 成東駅 (14:41着/14:48発)
↓ 東金線 普通
■ 大網駅 (15:05着/15:09着)
↓ 外房線 快速
■ 上総一ノ宮駅 (15:30着/15:44発)
↓ 外房線・内房線 普通
■ 木更津駅 (19:08着)

本日は純然たる千葉県の旅で房総半島をほぼ一回りするのがポイントです。また、出発前に銚子で観光をしていきます。実際の最長片道切符のルートは銚子の一駅隣、松岸駅からとなり、銚子・松岸駅間はルート外となるため、別途乗車券を購入することとなります。

【8:45-13:49】 初日の出が一番早く昇る街、銚子を観光

それでは出発前に昼過ぎまで銚子で観光をしていきます。今回はやや長いので(いつもの話だが)、さらに細分化して掲載します。

銚子駅前
銚子駅前

ヤマサ醤油を見学

銚子は醤油のまちとして知られており、夏は涼しく、冬は暖かく、年中通して湿度が高い気候が適していることから、銚子には数社醤油メーカーが存在します。その中でも、特にヤマサ醤油とヒゲタ醤油は有名です。そのため、醤油はテーマから外せないと思い、選択したのが「ヤマサ醤油」の工場見学です。両社で工場見学を行っているものの、ヒゲタ醤油ではコロナの影響で、完全に工場見学を受け付ていなかったため、問答無用でヤマサ醤油となった次第です。

ヤマサ醤油までは銚子駅から徒歩8分、銚子駅の駅舎の裏側に回り、歩いていくのが早いです。ヤマサ醤油の本社とその工場で敷地は非常に広いですが、工場見学の際は「しょうゆ味わい体験館」という場所へ行きます。

ヤマサ醤油のしょうゆ味わい体験館
ヤマサ醤油のしょうゆ味わい体験館
ヤマサ醤油の看板や広告等
ヤマサ醤油の看板や広告等

工場見学とはいえど、訪問時点(2023.4)ではヤマサ醤油でも工場見学そのものは行っておらず、主に映像での紹介となっており、そのことは承知のうえで「見学」に臨んでいます。事前予約が必要だったため、インターネットで事前に予約しており、入口付近の受付を済ませます。そして、シアターに案内いただきました。

映像ではヤマサの醤油づくりの解説がなされます。その映像によると、醤油づくりの原点は和歌山県湯浅市で、中国の禅僧が味噌づくりの製法を伝えた際、味噌桶の底に溜まった液体を舐めてみたところ美味しかったことが醤油づくりの原点とのこと。ヤマサ醤油は創業者の濱口儀兵衛が紀州(現在の和歌山県)の出身で、湯浅の技術を使いながら、銚子で醤油づくりを始めたそうです。

醤油の原料は大豆・小麦・塩。大豆は蒸して、小麦は炒って塩水を混ぜ合わせます。そして、重要なのが麹菌。ヤマサオリジナルの「ヤマサ菌」を使っており、このヤマサ菌がヤマサの品質を生んでいるとのこと。この麹菌と原料を混ぜたものに投入し、発酵させ、その際にできた醪(もろみ)を絞り出して醤油ができます。よくスーパーやCMで耳にする「生醤油」とはこの段階のもの。生醤油のまま売り出せるものもあれば、適宜火入れをして香りや味を調整するものもあるらしいです。

最長片道切符の旅の中で以前、日本酒の酒蔵に工場見学に行ったことがありますが(最長片道切符の旅5日目)、原料こそ違えど、麹菌を使って発酵、醪を絞り、必要に応じて火入れをする箇所は日本酒づくりの工程と類似していることが多く、新たな気づきになりました。これが日本の醸造文化なのだと。

製法などの概要を学んだ後は別室にある直径6mの醤油桶に案内いただきました。この醤油桶はバーチャルで、桶内部の映像を映し出すかたちで、原料を発酵させる際の様子などを見ていきます。発酵から1ヶ月経った時点では麹菌が最も活発になり、表面が沸騰しているかのように泡立ちます。3ヶ月経つと活動は落ち着き、熟成の段階となります。そして、できたての醤油は黒・茶色ではなく赤いらしいです。ヤマサ醤油ではこの赤にこだわりを持っているらしいです。ヤマサに限らず、密閉ボトルに入った醤油が出されているのもこの新鮮さを意識しているものなのかと。醤油も「生き物」であることがよくわかります(今までシンク下の収納で適当に保管していましたが)。

これで一通りの「工場見学」は終了。コロナ前は醤油ソフトクリームの販売や煎餅の手焼き体験も行っていましたが、こちらもまだ再開はしていない様子。仮想上ではありながらも、日本の食文化の一端を学べて、貴重な体験でした。上記のような映像やバーチャル体験が終わった後はしょうゆ味わい体験館内にある展示スペースを見たり、売店を見たりするかたちで各自自由なタイミングで解散することとなります。また、記念品にボトル醤油を頂けました。しかも、卓上のミニタイプではなく、そこそこサイズ感(多分中くらい)のあるもの。見学料無料なのにそこまでしていただけるとはなかなか太っ腹です。

ちなみに、投稿時点(2023.10)では工場見学は再開しており、実物を見ることができるようです。一方で、醤油ソフトや煎餅の手焼き体験など、飲食関連のものは引き続き、中止されているようでした。

しょうゆ工場見学記念写真用の醤油桶
しょうゆ工場見学記念写真用の醤油桶

ヤマサ醤油を出ようとした際に、何やら機関車の車両らしき展示を発見。これは「オットー」と呼ばれる最古のディーゼル機関車で、大正末期に輸入され、1964年までヤマサで活躍していたとのこと。あとあと調べてみると、かつて銚子駅からはヤマサ醤油やヒゲタ醤油の敷地まで専用線が引かれており、1984年に廃止をされていたようです。ということはきっとその専用線内で活躍していた車両なのでしょう。

ヤマサ醤油で活躍したディーゼル機関車「オットー」
ヤマサ醤油で活躍したディーゼル機関車「オットー」

ぶっ飛び鉄道、ならぬ日本一のエンタメ鉄道、「銚子電鉄」に乗車

ヤマサ醤油を後にし、徒歩5分。やってきたのは銚子電鉄の仲ノ町駅。銚子駅の隣駅です。鉄道ファンとして、いや、そうでなくとも銚子電鉄は見逃せない路線でしょう。

銚子電鉄の仲ノ町駅
銚子電鉄の仲ノ町駅
仲ノ町駅の駅舎から見たホーム
仲ノ町駅の駅舎から見たホーム

ご存知の方も多いと思いますが、銚子電鉄は銚子から犬吠を経由して外川までの6.4kmを結ぶ路線。「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」という文章をHPに掲載して、主力商品のぬれ煎餅を販売し、経営危機を脱却。その後も、「経営がまずい」という自虐ネタを元にした「まずい棒」というお菓子を売るなど、もはや鉄道会社ではなく食品製造会社になりつつある鉄道会社です。また、これに留まらず、「電車を止めるな!」という映画で興行収入を得て、それを鉄道事業の資金に充てるなど、良い意味で、鉄道会社らしくない「ぶっ飛んだ」企画、もとい、日本一のエンタメ鉄道を目指すべく竹本社長はじめ、社員一丸で実行する会社として注目を浴びています。

この仲ノ町駅には銚子電鉄の本社と車両基地があり、車両基地は入場券150円で見学ができます。列車まで時間があったので、まずは車両基地の見学へ。もちろん、作業スペースは危険なため、一部のスペースのみですが、留置されている車両や洗車機、様々な鉄道部品を間近で見ることができ、貴重な機会でした。それにしても、設備が古いこと。竹本社長ご自身が「鉄道会社なのに自転車操業」という言葉を述べていましたが、なんとなくその状況が垣間見ることができました。この会社、前社長が不祥事を起こしていたり、会計が滅茶苦茶な状況で現社長に引き継がれ、預金残高が50万円になったことがあるなど、普通のメンタルであれば、自●が頭をよぎるほど、大変な状況であるのに、これをネタに昇華してしまう、そのタフさが本当にえげつないですし、純粋に尊敬させられます。

仲ノ町駅の物品販売用ショーケース
仲ノ町駅の物品販売用ショーケース。売れるものは何でも売る精神。
仲ノ町車庫にある記念写真用駅名標
仲ノ町車庫にある記念写真用駅名標
仲ノ町車庫内
仲ノ町車庫内
車庫内の機械装置
車庫内の機械装置。年季が入っている。

それでは列車の時刻が近づいてきたので、仲ノ町駅から移動を始めていきます。乗車するのは外川行きで、途中の犬吠駅まで行きます。車両はお下がりのさらにお下がり。最初は京王で使われていた車両が伊予鉄(愛媛県の民鉄)に譲渡され、それがさらに銚子電鉄に譲渡されたというものです。

仲ノ町駅のホーム
仲ノ町駅のホーム。どこか東南アジアの駅の様子(行ったことないが)
3000形電車
3000形電車

列車は仲ノ町を出発。最高時速は40km/hでカタコトゆっくり走っていきます。途中、「金太郎ホーム」「上り調子本調子京葉東和薬品」「髪毛黒生」など、奇抜な駅名(正確には副駅名のようなもの)が続きますが、これは駅名のネーミングライツを販売したもの。これも鉄道事業を支える売上を確保するためのもの。もちろん、正式名称こそあれど、こちらの通称の方が当然印象に残ります。

平日ではありますが、観光案内も流されており、景色の楽しみどころがよくわかります。ある程度観光客もいる一方で、地元の方も一定数あり、中には車掌さんと仲良く話している乗客も。地元の方に親しまれている鉄道であることが伝わってきます。

約20分の乗車で犬吠駅へ到着。南欧風の駅舎が観光地であることを感じさせます。途中駅の中では一番規模のある駅で、駅舎内には売店があり、銚子電鉄名物の駄菓子などが取り揃られています。特に目を引くのが「まずえもん神社」。駅舎内の売店の横にあり、まずい棒のマスコットキャラクターである「まずえもん」が祀られています。抜かりなく奉納箱も設置されています。と思ったら「棒納箱」と書いてあるし。極めつけは「諸般の事情」で鳥居が設置できず、それを「鳥居さん」という社員の方で代用する始末。ぶっ飛び、いや、エンタメ精神にあふれています。

犬吠駅ホーム
犬吠駅ホーム
「まずえもん神社」に祀られるまずい棒のキャラクター、「まずえもん」
「まずえもん神社」に祀られるまずい棒のキャラクター、「まずえもん」
奉納箱ならぬ「棒納」箱
奉納箱ならぬ「棒納」箱
犬吠駅
犬吠駅

犬吠を散策

それでは今度は犬吠駅を拠点に散策をしていきます。まずは「地球の丸く見える丘展望館」へ。犬吠駅から徒歩15分です。名の通り、展望施設で、駅からやや内陸側に入った愛宕山に位置します。早速、屋上の展望台へと上がります。

地球の丸く見える丘展望館 入口
地球の丸く見える丘展望館 入口

展望台は屋外になっており、真ん中にある台に登り、そこからゆっくりと360度回転しながら見るのが恐らく醍醐味かと。360度中、330度で地平線が見ることができ、その地平線を遮るものは一切ありません。確かに地球が丸く見える気がします。近くに目をやれば、九十九里浜や犬吠埼、銚子市街、利根川の河口などが見えます。

展望台から見る九十九里浜
展望台から見る九十九里浜
展望台から見る犬吠埼
展望台から見る犬吠埼

それでは地球が丸く見える丘展望館から海へ向かって歩き、今度は「犬吠埼」へ。犬吠駅から徒歩10分、地球の丸く見える展望館からは徒歩25分です。銚子は初日の出が一番早いまちともいわれますが、その場所がここ、犬吠埼なのです。関東平野最東端に位置する犬吠埼は太平洋が眺められる絶景のスポットで有名です。また、東映のオープニングで岩に波が押し寄せるシーンもここで撮影されています。

犬吠埼でも特に象徴的な場所はやはり犬吠埼灯台。犬吠埼灯台へは寄付金として300円払えば登ることができます。階段は99段。その階段もすれ違いがやっとなほど狭いので(特に頂上付近)注意していく必要があります。頂上からは海景色を臨むことができ、パノラマはそこまで効かないまでも、地球の丸く見える展望館よりも、近場で海を眺められます。また、海岸線がしっかり眺められるので、混雑していなければスマホの地図と見比べてみると面白いでしょう。

犬吠埼灯台
犬吠埼灯台
犬吠埼灯台から見る銚子マリンタワー方面
犬吠埼灯台から見る銚子マリンタワー方面

灯台を下りると、時刻は12時前。犬吠駅からの列車の時刻もあるので、犬吠埼を後にし、駅近くの「島武」さんで食事をします。島武さんは主に近海で獲れた地魚料理を楽しめるお店です。入店すると、回転寿司か定食かを選び、それぞれのスペースへ案内してもらう形式です。今回は手軽な回転寿司の方を選択。基本的に生ものに関しては回転レーンにのせず、直接注文するスタイルをとっていました。訪問時は近海でとれたタイやヒラメなどを取り扱っており、ほかにもアブラボウズといった深海魚など、多種多様なネタが取り扱われていました。特に、アブラボウズは初めて食べましたが、味は白身魚に近いながらも脂がのっていて美味しかったです。他のネタも新鮮で、ネタやシャリが一般的な寿司店よりも大きめで食べ応えがありました。

さかな料理・回転寿し 島武
さかな料理・回転寿し 島武
地魚を使った寿司たち
地魚を使った寿司たち

それでは店を出て向かいの犬吠駅へ。売店でぬれ煎を購入しました。まずい棒も気になりましたが、10本1袋という構成。バラで買えなかったので、諦めました(ぬれ煎は味の種類があり、濃い口を購入。醤油の味がよく染みており、しっとりした食感で美味しかったです)。

【13:49発/15:05着】 総武本線・東金線経由で大網へ

それでは帰りの列車に乗車して、銚子駅まで戻ってきました。銚子電鉄の銚子駅はJRのホームと同居しており、切符は自動改札ではなく、有人改札のところで回収してもらう方式でした。これで約4時間コース。途中下車(この旅は全国縦断旅なので)としてはなかなか充実したコースだったように思います。

銚子駅の銚子電鉄側の待合室
銚子駅の銚子電鉄側の待合室

それではここから本格的に移動を開始していきます。まずは総武本線の千葉行きへ乗車して途中の成東へ。銚子から出ている列車には総武本線回りと成田線回りの列車があるので、間違えないように注意して乗車していきます。

銚子駅
銚子駅

車両は209系の4両編成。先頭車両の1番前の箇所は貨物用スペースとなっており、そのスペースが完全に幕でふさがれていました。関東でも貨客混載が行われているとは少し意外でした。

209系電車
209系電車。房総地区で多く見られる。
総武本線の貨客混載の様子
総武本線の貨客混載の様子

それでは列車は銚子を出発。次の松岸駅から最長片道切符のルートへ復帰します。松岸を出発すると、成田線と分かれ、田園風景と住宅が入り混じった景色が終始続き、車窓自体には大きな特徴はない印象でした。

そして、銚子から約50分で成東駅へ到着。ここで東金線へ乗り換えます。東金線は全線走破しても約20分という短い路線。それでも209系が6両編成(確か)と路線長にしては長い編成でした。成東駅から乗車する際は最後部の車両が改札に近いため、あえて遠い先頭車両に乗車し、空いた車両でくつろいでいました。ちなみに、大網駅では先頭車両が乗換口(安房鴨川方面の場合)に近かったため、その意味でも先頭車両に乗っておくのは正解でした。

成東駅
成東駅

また、車窓については東金線も特にこれといったものはありませんが、終点の大網駅では東金線のホームから駅前が全景がきれいに見られます。これはありそうであまりあることではありません。大網駅は外房線の途中駅、かつ、東金線の始発駅ですが、配線がやや珍しく、東金線の線路が大網駅の終端の手前で合流せず、東金線の終端を過ぎた後に合流するため、駅前は外房線の線路と東金線の線路に挟まれる形で存在するという少し珍しい構造になっていることに起因します。ちなみに、外房線のホームは対向式ホームとなっており、線路と反対側は壁になっている構造のため、外房線のホームから駅前は見えません。

車窓(東金線ホーム)から見る大網駅前
車窓(東金線ホーム)から見る大網駅前
外房線 大網駅
外房線 大網駅

【15:09発/19:08着】 外房線・内房線で房総半島を大回りして木更津へ

東金線で大網へ到着後は外房線に乗り換えます。前回、千葉県の忍耐ポイント2点をトピックにあげましたが、ここからが2点目の房総半島(ほぼ)一周に入っていきます。大網から乗車するのは上総一ノ宮行きの列車です。京葉線からの直通列車で、車両は京葉線(ワインレッド)色のE233系電車です。大網を出発すると、茂原駅周辺の市街地を除けば、おおよそ田園風景の景色の中を走り、約20分ほどで、終点の上総一ノ宮へ到着します。

上総一ノ宮駅
上総一ノ宮駅

上総一ノ宮駅でさらに乗換えをしていきます。ここまで短時間で乗換が相次ぎましたが、木更津まで距離がある中、ここが本日最後の乗換ポイントです。次に乗車するのは内房線直通の木更津行き普通列車です。これはなかなかのロングラン列車。上総一ノ宮・木更津駅間の138.4kmを3時間24分もの時間をかけて走破する列車です。車両は近年に房総に導入されたE131系。車両はきれいですが、2両編成と短いです(大網・上総一ノ宮駅間で乗車した列車は10両編成)。車内はクロスシートはあるものの、1両に2つのボックスのみで、ほかはロングシート。車内は比較的多くの乗客がおり、立ち客もちらほら見られます。

上総一ノ宮駅で出発を待つロングラン列車、木更津行き
上総一ノ宮駅で出発を待つロングラン列車、木更津行き

自分もしばらく経っていましたが、大原駅で狙っていたクロスシートが空き、無事押さえることができました。しかも運よく、海側です。このタイミングで車内も少しずつ空いてきている様子でした。

ところで、外房線といえば海が見えることで有名ですが、海が見え始めるのは御宿駅付近からです。そして、勝浦駅を過ぎると進行方向左手に間近に見えてくるようになります。ただし、外房線沿線は房総丘陵が立ちはだかる地形のため、トンネルが多く、絶景ポイントとなりうる場所は少ないです。そのため、超絶景というわけではないにせよ、車窓の写真を撮るのであれば、勝浦駅出発直後が貴重なシャッターチャンスになるでしょう。

勝浦駅出発後に見える海景色
勝浦駅出発後に見える海景色

そして、廃レジャー施設名が駅名にそのまま残る行川アイランド駅や、昭和レトロで有名な小湊鉄道が当初目指した安房小湊駅を過ぎ、まとまった市街地が見えると、安房鴨川駅へ到着します。安房鴨川は外房線の終着駅で、近年まではここで必ず乗換が必要になっていましたが、2021年のダイヤ改正でこの列車のように、外房線と内房線が直通するようになりました。

廃墟と化した行川アイランドの入口
廃墟と化した行川アイランドの入口

列車は安房鴨川駅を出発し、ここから内房線へ入ります。ここまで列車は空いていましたが、時刻は夕刻。学校帰りの生徒さんたちが乗車してくるようになりました。ここまで1時間20分ほど乗車しましたが、まだ終点までは2時間ほど…。

安房鴨川駅
安房鴨川駅(駅名標の上にマップがある)

鴨川市街では特に海は見えることはありませんでしたが、太海・江見間で再び海が見えるようになります。特に国道が海にかかる同区間の房州大橋の景色は見どころです。内房線の安房鴨川寄りは外房線と比べ、海沿いの車窓が見やすくなります。

房州大橋(太海・江見駅間)
房州大橋(太海・江見駅間)

列車は館山へ到着。ここからは学生さんはもちろん、仕事帰りの方もそれなりに乗ってきます。この周辺では車通勤が基本かと思っていましたが、通勤需要が一定数見られるのは少し意外でした。南欧風の駅舎とヤシの木が見える館山駅を後にし、列車はさらに北上していきます。少しずつこの辺から日が傾き始め、夕暮れの景色が広がるようになってきます。

館山駅
館山駅

館山を出発してからは館山・那古船形駅間、冨浦・岩井駅間、安房勝山・保田駅間でも海を望むことができます。ただし、冨浦を出発してからは再びトンネルが多くなるので、撮影は難易度が高くなります。そして、鋸山ロープウェイや東京湾フェリーが発着する浜金谷港が近い浜金谷駅へ到着。大原駅からずっと座りっぱなしのため、お尻が痛くなってきました。終点まであと45分ほど。

浜金谷駅を出発し、上総湊駅付近では再び海景色に。乗車時期は4月下旬でしたが、上総湊駅を過ぎると内陸へ入り、ちょうどこのタイミングで辺りも暗くなってきました。後はお尻との痛みとの戦いです。終点まであと30分ほど。あともう少しのようで、意外とこれが長く…。

夕景色
夕景色

辺りの景色が完全暗くなりやることがなくなると、ウトウトしたり起きたりを繰り返し、ようやく列車は君津駅へ到着。この時点では立ち客も多く見られ、やや混雑していましたが、木更津以遠へ向かう列車との接続があったため、ほとんどの乗客がそちらへ流れていき、車内は数えられる程度の乗客が残るのみに。しかも、いま乗車中の列車が後発で、君津始発の列車はこの列車からの乗換が済むと、そそくさと出発していきます。

予定上は終点までこの列車を乗り通すつもりでいたところ、この君津始発の列車の存在を知った時はそちらに乗り換えて木更津へ早く到着することも考えましたが、せっかくなのでこの列車を乗り通すことにし、あえて乗り換えず、同じ列車に留まることにしました。後から考えると、もし乗り換えてしまった場合、18:00以降に最長片道切符のルート内を移動する列車にあらたに乗車するのはNG(18時以降でも、その時刻以前に乗車した列車に終点まで乗車するのは可)というマイルールに抵触することになっていたので、結果的にこの判断は正解でした。しかし、当時、ここに考えが至らぬほど疲れていたのです。

君津始発の列車に遅れること4分後、列車は君津駅を出発し、数分で終点の木更津駅へ到着。ついにこのロングラン列車を乗り通しました。そして、ここ、木更津が本日の最終目的地です。今日はさすがに疲れました。ただし、房総半島(ほぼ)一周もこれで9割程度終わったも同然となり、少し気が楽になりました。

木更津駅の駅名標
木更津駅の駅名標
木更津駅
木更津駅

本来であれば木更津や千葉県の名物を夕食に食べるところ、本日は体力が限界を迎え、夕食は適当に済ませることとなりました。そのため、今回はこれで旅程終了となります。それでは本日もお疲れ様でした。

【YouTube】