【最長片道切符の旅#3】北海道を代表する観光路線、釧網本線で網走から川湯温泉へ

最長片道切符の旅3日目。本日は2023年3月22日(水)。
網走から旅を再開していきます。
本日の旅程は以下の通りで、比較的ゆっくりめの旅程となります。
(超遠回り全国鉄道縦断旅行、あるいは最長片道切符の概要はこちらからどうぞ)

【旅程: 最長片道切符の旅3日目(当初の予定)】
■ 網走(北海道・オホーツクエリア)観光
 ● 網走駅(10:53)
 ↓ 網走バス
 ● 博物館網走監獄(11:00/13:20) (※昼食含む)
 ↓ 網走バス
 ● オホーツク流氷館(13:25/14:04)
 ↓ 網走バス
 ● 網走駅(14:17)
■ 網走駅 (15:10)
↓ 釧網本線 普通
■ 川湯温泉駅 (16:52)
■ 川湯温泉(北海道・釧路エリア)観光
 ● 川湯温泉駅 (17:00)
 ↓ 阿寒バス
 ● 大鵬相撲記念館前(川湯温泉街) (17:10)

【10:30発】 網走ロイヤルホテル

本日は遅めのスタートです。

通常、ほとんどのホテルが10:00チェックアウトとなっている中、
「網走ロイヤルホテル」さんのチェックアウトは11:00までとなっていたので、
割と遅めまで部屋にてゆっくりさせていただきました。

そして、この後は網走観光ということもあったため、
チェックアウト時に荷物を預かっていただきました。

このホテル、なかなか良いところだったため、「超遠回り全国鉄道縦断旅行②」の記事で触れています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。

網走ロイヤルホテル
網走ロイヤルホテル

【10:53発】 網走駅を観光施設めぐり用バスで出発

網走の有名観光地、「博物館網走監獄」へ向かいます。
網走には網走交通のバスが走っており、網走の代表的な観光地を巡るには「市内観光施設めぐり」のバスが便利です。

網走駅から網走監獄方面へは2番のりばのバスに乗車するということは調べてあるものの、バス乗り場の位置が見つからず。
色々歩き回りましたが結果、2番のりばは駅から少し歩いたすき屋の前にあり、駅からやや離れているので注意が必要です
(しかも、駅から少し見えにくい位置にあります)

網走駅
網走駅

無事にバスに乗車でき、いざ目的地へ。
これから向かう「博物館網走監獄」はその名の通り刑務所ですが、
これはかつての刑務所の建物が1983年の大規模改装工事に伴い、移設され観光施設化したもの
バスの道中では現役の刑務所も通り、進行方向右手に見えてきます。
網走川をはさんで向こう側にあるので見えにくいですが、赤レンガの塀で囲まれている箇所が刑務所です。

こぼれ話ではありますが、網走バスのバス車内の案内表示にはバス停の英語名も表示されますが、
例えば、「ハローワーク」は「harowaku」というようにカタカナ語があってもベタベタのローマ字表記ですが、
「刑務所前」のバス停だけ「Prison」とこれに限り、まともな英語表記がなされます。
(hallo-workにしたところで外国人には伝わらないと思いますが、個人的にちょっとむずがゆい表記です)

【11:00-13:20】 「博物館網走監獄」にて、かつて使われていた本物の刑務所を見る

駅から7分の乗車で「博物館網走監獄」に到着。

博物館網走監獄
博物館網走監獄

バリバリyoutubeに投稿するつもりでいましたが、動画投稿目的での撮影はNGとのこと。
展示内容は読者の皆さんに実際に訪問して頂くこととして、文章ベースで印象に残ったことを記載しておきます。

まず、網走監獄への入場料は大人1,500円(2023年3月現在)
博物館への入場料としては少し高いですが、結論それに匹敵する価値があると思いました。

博物館のメッセージの一つとして感じたのはいまの北海道のインフラの基礎を囚人たちが築いたということ。
道内の各地にある道路や鉄道は網走をはじめ、北海道の明治期の囚人たちが突貫工事で作ったものです。
当時の作業は工事現場に赴き、拠点を作りそこで生活をしていましたが、その生活は非常に過酷なものでした。
寝る間もおしまずに労働をさせ、寝床や食事も粗末な状態であったことから、倒れたり死亡する囚人も多かったのだそう。
囚人に限らず、看守も犠牲になった人がいるとのことで、現代のブラック企業も顔負けするレベルの労働環境がそこにはありました。
その当時の寝床の様子や作業の様子を再現した映像などを館内で見ることができます。

上記のような囚人労働は強制労働という批判的な世論があり1895年に廃止。その後は所内での労働となります。
そこで意外なこととしては監獄内ではかなりシステマティックに運用がされていたこと。
網走監獄では味噌・醤油や野菜などいろいろな食物を自給自足していましたが、
網走監獄で行われていた農法はアメリカの近代的農業制度を参考にした最先端のものだったらしいです。

生活面における運用の工夫も。
独房などの生活拠点は効率的に見張りができるように一つの見張所を中心に放射状に独房の建屋を設ける構造が採用されていました。
これは恐らく一番メインの展示物であろう舎房と中央見張所で実際に見ることができます。
また、入浴の仕方に至っても、大人数を裁くためにきちんと工程が決められていたのだそう。
囚人や看守たちのマンパワーを必要とする施設でありながらも、
当時からかなり効率や生産性のことが考えられており、ある種現代のビジネスに通ずるところもあるのではと思いました。

今回、予定ベースでは2時間30分で敷地内全体の見学と併設の食堂での食事をしていこうと思いましたが、
敷地内を見るだけで時間切れとなってしまいました。
施設内をざっくり見るだけでも、少なくとも1時間30分。ゆっくり見るのであれば2時間30分が良いでしょう
食事をするのであれば40分をプラスで見込んでおくとよいと思います

併設の食堂は「監獄食堂」といい、刑務所の食事内容を再現した定食が人気らしいです。
例えばごはんについては麦が混ざっており、受刑者気分で食事ができるとして人気です。
意外とおいしいと評判がよいので、次回はぜひリベンジしたいものです。

【13:25-14:04】 オホーツク流氷館にて流氷を疑似体験

網走監獄からは再び市内観光施設めぐりのバスで向かったのは「オホーツク流氷館」。

「オホーツク流氷館」は網走市街地の近郊にある天都山の頂上にある観光施設です。
網走といえば、オホーツク海沿岸にある都市ですが、やはり有名なのは流氷です。

流氷館の一番の目玉が常設の流氷体験コーナー。
室温が-15℃に保たれており、その中にオホーツク海から採取された本物の流氷が置かれています。
また、タオルを振り回して凍らせるあの寒冷地での醍醐味も同時に体験できます。

オホーツク流氷館
オホーツク流氷館

冬の北海道は何度も経験しているため、室温の低さは何とも思わなかったのが本音ですが、
(動画ではわかりやすく「寒ッ」と表現してますが)
やはり流氷に触れられるのは貴重です。ありきたりですが、本当にあの芸人の筋肉のように「カッチカチやで」な状態に(古い?)。
と思うと、砕氷船が氷を砕くエネルギーの莫大さを実感することができます。

流氷体験室の入口
流氷体験室の入口
流氷体験室
流氷体験室。室内は-15℃。

そしてあの醍醐味、タオルを振り回して固まらせます。体感としては100回振り回してようやくカチカチになりました。
寒さを実感する方法としてはベタながらも、意外とそういう機会はないので、逆に新鮮な経験になりました。

振り回したタオル
振り回したタオル。「カッチカッチやで」。

さて、このオホーツク流氷館には天都山展望台が併設されています。
バスまでの時間が迫っているので、急いで階段を上って写真をパシャリ。
1分もいれませんでしたが、山麓の街なみと奥に広がる網走湖、若干ではあるもののさらにその奥にある能取湖もみえました。

天都山展望台から
天都山展望台から (急いだのでクオリティがアレですが)

【15:10発】 JR北海道屈指の観光路線、釧網本線に乗車

オホーツク流氷館を急いで退館し、バスへ乗り込み、網走駅へ戻ります。
そして、ホテルで預かってもらった荷物を回収し、移動モードに入ります。

釧網本線の車両。キハ54形気動車。
釧網本線の車両。キハ54形気動車。

この段階でまだ昼食をとっていなかったので、網走の駅弁、帆立弁当を購入。900円と駅弁にしてはリーズナブルです。
釧網本線の列車に乗り込んでからさっといただくことに。
ごはんのうえに錦糸卵と醤油ベースのタレにつけられた椎茸と帆立が乗っかっています。
帆立の貝柱がゴロゴロ入っており、贅沢気分です。タレが具に染みわたっており、なかなか美味でした。

帆立弁当(開封前)
帆立弁当(開封前)
帆立弁当(開封後)
帆立弁当(開封後)

ところで、今回乗車する釧網本線について簡単に。
釧網本線は釧路(厳密には東釧路)から塘路・標茶・摩周・川湯温泉・知床斜里を経由して網走を結ぶ全長166.2km(東釧路・網走間)の路線です。
沿線には釧路湿原・摩周湖・川湯温泉・知床半島・オホーツク海(特に冬季の流氷)・網走監獄など、北海道や道東を代表する観光地が多いのが特徴です。

こういった性質を持つ路線のため、筆者の経験上、日中の時間は平日でも比較的混みやすいです。
途中駅から乗る場合はどうしようもないですが、着席したい場合、
特に始発駅である釧路駅や網走駅から乗車する際は早めに乗車しておくのが吉です。
また、座れなくとも市街や観光施設が近い塘路駅・標茶駅・摩周駅・知床斜里駅で席が空くかもしれません。
この日は網走出発時点で8-9割の座席が埋まっており、隣の桂台から学生さんが乗車しほぼ満席+数人の立ち客といった混雑ぶりとなっていました。

そして、肝心な車窓について。今回乗車した網走・川湯温泉間だけでもかなり見どころが多いので、以下、簡単に紹介しておきます。
本記事の最下段にあるYouTubeの動画もあわせてご覧いただけるとその景色の良さを実感頂けると思います。
(何よりも実際に乗車して見て頂きたいです)

【釧網本線の車窓見どころ(網走~川湯温泉)】
① 断続的に見える雄大なオホーツク海 (進行方向左手: 桂台~知床斜里で断続的に)
② オホーツク海の奥に見える知床連山 (進行方向左手: 桂台~知床斜里で断続的に)
③ オホーツク海に面したレトロな木造駅舎を持つ駅 (いずれも進行方向右手: 藻琴駅、北浜駅、止別駅)
④ 小清水原生花園と涛沸(とうふつ)湖 (主に進行方向右手: 北浜~浜小清水)
⑤ 知床連山のひとつ、海別岳 (進行方向左手: 知床斜里~中斜里)
⑥ 斜里岳 (進行方向左手: 中斜里~札弦)

オホーツク海と知床連山
オホーツク海と知床連山
涛沸湖
涛沸湖
海別岳
斜里岳
斜里岳

上記④については3月下旬という時期もあったため、今回は荒涼な草原が広がるのみでしたが、
4月下旬から9月下旬にかけて季節に応じた色々花が咲き誇ります。その奥には涛沸湖が広がりいかにも北海道的な風景が広がります。

また、上記以外にも時折現れる畑の風景もきれいです。
畑の区画ごとに作物や草の色、場合によっては土だけだったりするので、まるでパッチワークのような大地の美術が見ることができます。

上記に従って車窓を見ていくと恐らく、網走から乗車した場合、清里町駅や札弦駅の辺りまでは興奮したままの状態が続くと思います。
その後は徐々に景色が落ち着き、緑駅を過ぎると野上峠の山越えをし、川湯温泉駅へ到着します。

【17:15】 釧路の名湯、川湯温泉へ

網走から移動すること、約1時間40分、川湯温泉駅へ到着です。今夜は川湯温泉で温泉観光を楽しみつつ一泊します。

川湯温泉駅とキハ54形気動車
川湯温泉駅とキハ54形気動車

川湯温泉駅と川湯温泉の温泉街まではやや距離があるため、バスで温泉街まで向かいます。
駅から温泉街まではバスで約10分。バスは列車の時間とリンクしているため、使いやすいです。ただし、このバスについて注意点が2つ。
1つ目が阿寒バスHPの時刻表を見るとあたかも駅と温泉街の2箇所しかバス停がないように思えますが、実際にはバス停がこまめに設けられています。
そのため、事前に宿泊地や訪問場所の最寄りバス停はNAVITIMEやGoogle Mapなどで調べておきましょう。
(筆者は調べてなかったため、以前に一度行った時の勘で降りた結果、一つ行き過ぎたバス停で下車していることがわかりました)
2つ目の注意点として、通常はバス車内の電光掲示にバス停名が表示されますが、
このバスでは(少なくとも筆者が訪問したときは)口頭の自動アナウンスのみなので聞き逃しに注意しましょう。
とはいえ、温泉街では「Ω」型のようにルートを取っており、一旦温泉街の中心を離れてもまた戻ってくるので、
中心付近にアクセスする際は一度行き過ぎても終点の「大鵬相撲記念館前」で降りれば問題ないはずです。

川湯温泉の温泉街
川湯温泉の温泉街 (夜散歩がてら撮影)
KKRかわゆの玄関
KKRかわゆの玄関

バス停は一つ行き過ぎましたが、傷は浅く、無事に本日の宿、「KKRかわゆ」さんへ到着です。
川湯温泉にはいくつか宿がある中、KKRかわゆはリーズナブルな価格で利用ができるうえ、その割には質も高く、コスパのよい宿です。

数種類のタイプの部屋がありますが、今回は一番小さい6畳の部屋を予約していました。
いくつか写真をのせておりますが、これでおよそ5,000円(素泊まり)です。これに源泉かけ流しの大浴場が使い放題です。
贅沢はできないものの、「できるだけ良いところ、でも安く」というわがままを叶えてくれるのがここ、KKRかわゆさんです。
カジュアルな旅には自信をもっておすすめします。

(ただし、何かの記念旅行など、余所行きな旅のときはほかの宿の方がよいです)

6畳和室①
6畳和室①
6畳和室②
6畳和室②
独立洗面台
独立洗面台あり。(なんか曲がってるし)
トイレ
トイレ。ほのかに硫黄(温泉)の匂いがする(お○らではない)。

【18:00-18:45発】 羊小屋ラムチョップで夕食

今回宿は素泊まりで申し込んでいたので、温泉街で食事をします。

しかしながら、平日の夜ということもあって、
温泉街を歩いて確認した範囲ではやっているお店は2件のみ。

今回は「羊小屋ラムチョップ」さんで食事をすることに。
店名の通り、ジンギスカンを提供しているお店です。
店の内装・外装ともに新しそうな雰囲気できれいです。

「羊小屋ラムチョップ」外観
「羊小屋ラムチョップ」外観

やはり、ここはジンギスカンを注文。
セルフで焼く方法と持いてもらう方法の2種類があるらしく、今回はあえて後者の方を選択しました。
通常であればセルフで焼くのが定番ですが、やはりノウハウがあるプロが焼いたものの方が良いからです。
(本音は面倒くさかったからですが)

結局、見た目は肉野菜炒めみたいな感じでしたが、味はきちんとおいしいです。
ラム肉は独特の臭みがなく、丁寧に処理されている印象でした。
別途タレも出していただいていましたが、下味がしっかりついていたので、そのままでも十分美味しかったです。

一緒にもやしナムルと卵スープも注文。もちろん北海道名物、サッポロクラシックも欠かしません。
手軽に焼肉と北海道気分が味わえて良い時間を過ごしました。

サッポロクラシックとお通し
サッポロクラシックとお通し
ジンギスカン・卵スープ・もやしナムル
ジンギスカン・卵スープ・もやしナムル

【21:30-22:00】 強酸性のお湯に浸かる

夕食から戻り、しばらくお部屋でゆっくりした後は肝心な温泉タイムです。

川湯温泉の特徴はなんといっても強酸性のお湯pHは1.8で、レモンよりも酸性の度合いが強いようです。
温泉街の近くに硫黄山があり、そこが源泉となっています。

主成分は硫黄ですが、それ以外にも酸化鉄や塩化物など複数の成分が含まれています。効能は神経痛・筋肉痛・関節痛など。

入浴した感じでは温泉街ほどの硫黄臭はせず、少なくとも個人的な感覚では強酸性ながらも肌がヒリつく感覚はありませんでした。
温度表示はありませんでしたが、感覚としては42-43℃くらいのやや熱めです。

室内の浴場はシンプルに浴槽は広いものが1つだけですが、こちらは源泉かけ流しの本物の温泉です。お湯がよければそれでも文句は全くありません。

そして、KKRさんには露天風呂が設けられています。室内の浴槽に比べるとコンパクトで3名くらいで手狭になりそうな感覚です。
やはり外気温が一桁台なので、こちらは体感40℃くらいの心地よい温度になっています。

平日の夜遅い時間のため、浴室には誰もおらず、最後まで浴場を貸切状態で入ることができました。
ちなみに、強酸性で刺激が強いため、上がる際は真水・真湯で洗い流すことが推奨されていますのでご注意のほど。

それでは本日のこの辺で。お疲れ様でした。

【YouTube】最長片道切符の旅3日目